老人性痴呆

2003.9


”ぼけ”をよく理解するための7大法則

●1.記銘障害に関する法則

「記銘力低下」「全体記憶の障害」「記憶の逆行性喪失」
記銘力低下 とは新しいことを覚えることが困難になること。
全体記憶の障害  とは大きな行為そのものの記憶を失ってしまうこと。
記憶の逆行性喪失 とは蓄積されたこれまでの記憶が、現在から過去にさかのぼって
失われていく現象をいう。

●2.症状の出現頻度に関する法則

痴呆症状が、いつも世話をしているもっとも身近な人に対してひどく出て 、時々会
う人には軽く出ることをいう。

●3.自己有利の法則

自分にとって不利なことは認めないことをいう。

●4.まだらぼけの法則

痴呆性老人は異常な言動ばかりするかというと、そうではなく、正常な部分と呆けの
部分とが必ずまじりあって存在する。

●5.感情残像の法則

言ったり、聞いたり、行動したことはすぐ忘れるが感情の世界は しっかり残っていて、瞬間的に目に入った光が消えたあとでも残像として 残るように、痴呆性老人がそのとき抱えていた感情が相当時間続くことをいう。

●6.こだわりの法則

ある一つのことに集中すると、そこから抜け出せない。

●7.ぼけ症状の了解可能性に関する法則

1〜6法則にある、老年期のいろいろな知的機能の低下の特性を 考えれば、痴呆症状のほとんど全ては、そのお年寄りの立場に立って みれば十分理解できるものである。



アルツハイマー型痴呆の治療:

痴呆のお薬は以前はたくさんありましたが、薬効の再評価でどんどん消えてゆきました。今のところ効いたなと私自身感じているのは、エーザイのアリセプトだけです。このお薬の飲み方が少し変わっていて、最初、3mg錠 1日1錠を約1〜2週間飲んだ後、維持量は5mg錠を1日1回続けます。

中途で内服を中止したら、急速に痴呆状態が悪化することがあるので要注意です。

最近、脳血管性痴呆にも有効との報告がありますが、保険適応がアルツハイマーだけですから、保険が効かないので結構高いお薬になってしまいます。