肥満症について
2004.10


肥満とは単にみかけ体重が多いということではありません。身体の内部や外部にに余分な脂肪が多くついているということです。

ボディマスインデックス(Body Mass Index=BMI)

            体重 (Kg)

BMI = ----------------------------------

          身長(m)X 身長(m)

自分がどのくらい肥満しているのかを知るには、まず、ボディマスインデックス(Body Mass Index:BMI)を計算しましょう。BMIとは身長と体重から計算した肥満度の指標の一つで上の式で求めます。正常範囲は22〜24です。統計上BMIが22の人が病気になりにくく死亡率がひくいことが知られていますのでBMI=22のときの体重を理想体重または標準体重とします。その体重に対してあなたの体重が何%オーバーしているかということで肥満しているかを判定します。120%以上は明らかな肥満体です。

   標準体重(Kg)= 22 X身長(m)X身長(m)ですから

            あなたの体重(Kg)-  標準体重(Kg)

肥満度(%)= ---------------------------------------

                    標準体重(Kg)

  になります。


体脂肪量の測定

実際に体内の脂肪の蓄積量をはかるにはどうすればよいのでしょうか?従来は、大きな水槽の中に身体を沈め浮力から体内の脂肪量を推測する体密度測定や肩甲骨下端部や腕の皮下脂肪つまんで皮下脂肪量を推測する方法などしがありませんでした。

最近、身体のインピーダンス(身体の抵抗量)を計りその結果、体内脂肪量を類推する方法が開発され一般的になりつつあります。 しかし、家庭用の簡易型は誤差も大きくあくまでもひとつの目安でしかありませんので数字に一喜一憂はしないでください。


体脂肪率:家庭用計測機

体脂肪率が成人病(生活習慣病)予防の指標の一つとして注目されているが、見た目で太っていても体脂肪率(体重にしめる脂肪の割合)が低ければ、成人病をそれほど心配する必要はない。若い女性のダイエットは、食べる量を極端に減らし、体も動かさない無理なダイエットをして、脂肪も筋肉も落ちてやつれ、その反動で食べて脂肪だけが戻るケースが多い。正しいダイエットとは、少なく食べて運動により筋肉を増やす減量方法である。家庭用体脂肪率測定機は、測定原理としては体に弱い電流を流し測定するものであり、オムロン社の体脂肪計は、両手でグリップを握るだけで測定できる。但し測定する時刻・状況(食事・運動など)によってデータが変わる(オムロン社のものでは3%前後)ので、昼食後2時間以上たった午後から入浴・夕食前、または夕食後2時間以上たった就寝前での測定を勧めている。従って測定誤差があるので、一挙一動せず、長い目でデータの推移を見る姿勢が大切である。

 

オムロン社の体脂肪計による肥満度判定表

     やせ    標準     軽度肥満   肥満

 男性 10%未満 10〜20% 20〜25% 25%以上

 女性 20%未満 20〜30% 30〜35% 35%以上

 

家庭用脂肪計測機として他には、タニタ社の脂肪計付ヘルスメーターがあります。

これは乗るだけで計測できるものですが、皮膚病(水虫など)の感染の危険性のためこのコーナーではオムロン社のものを主体に説明

抗菌の体脂肪装置とあっても、絶対感染をしないという意味ではありません。お間違えにならないように!


肥満の分類

1 体形による分類

りんご型(上半身型)洋なし型(下半身型)

一口に肥満といっても脂肪のつきかたにより上の2つにわけることができます。

ビール腹のようにお腹が大きい上半身型肥満(りんご型)と下半身デブ型の下半身型肥満(洋なし型)に分けられます。

動脈硬化症、心臓病などの成人病との関連がより深いのは上半身型の肥満です。

肥満の型にはウエスト(W)とヒップ(H)の比により  上半身型:W/H>0.8(女性)または>1.0(男性)

すなわちりんご型が危険なのです


2 脂肪分布による分類

内臓脂肪型(りんご型皮下脂肪型(洋なし型

脂肪が内臓組織に多くつく内臓脂肪型と皮下組織に脂肪がつく皮下脂肪型に分けることができます。

内臓脂肪型は心臓病や動脈硬化症などの成人病と関連が深く危険です。この内蔵型肥満は上半身型肥満の方によく見られますので注意が必要です。


3 その他の分類

原発性肥満と二次性肥満

肥満の95%は原発性肥満です。原発性肥満はやはり過食と運動不足が原因です。しかも肥満には恐ろしい側面がかくされているのです。

二次性(続発性)肥満はホルモン異常によっておこります。したがってホルモン治療によって改善されることがある。


肥満の合併症

高血圧 糖尿病 高脂血症 脳血管障害 夜間無呼吸症候群 動脈硬化症 心臓病 脂肪肝 胆石 月経異常 膝関節症 痛風

むしろ生活習慣病そのものといってもよいその結果死亡率が上昇します。例えば50%以上の肥満の人は死亡率は肥満していない人の2倍近くにも達します。


肥満の治療

1 食事療法

自分の肥満の原因を納得することまず、あなたの食行動を見直してください。食べていないのに肥るということはありえません!水だけのんでも肥るということはない。1回の食事時間をたっぷりとる(30分以上かけてよく噛む)決めた場所決めた時間以外では食べないTV、新聞を見ながら人と喋りながら食べない夕食は午後8時までにすませるお皿を一緒盛りにしない(個人ごとに分ける)朝、昼、夜3食をできるだけ均等に食べる、決してやけ食いをしないなど。

   

食事内容について

基本的にはゆるやかな低カロリー・低脂肪食です。過度のカロリー制限をしても緩やかなカロリー制限にくらべエネルギー不足の割には減量効率は高くないという研究結果もあります。ゆるやかに気長にいきましょう。食物線維はしっかりとるようにしましょう。

(注意)

食事の具体的なカロリーなどについては糖尿病食を参考にしてください。糖尿病食から-300〜-500kcal減らした量がよいでしょう。

(特殊な食品によるダイエットにも注意)

急激な過ぎた減量は、健康を害する場合があります。実際、アメリカでは20年程前に粗悪なプロテインダイエットが流行し、その結果、数十人が不整脈などにより突然死したということもあります。行き過ぎの減食は生命の危険さえもあるのです。


2 運動療法

運動療法のは糖尿病の運動療法に準じて行いましょう。

糖尿病における運動療法とひとつ違うことがあります。運動の始めは糖質が燃えてエネルギーを供給するのですが30分以上で皮下脂肪が優位に燃え出します。ですから、細切れに運動していても効率良く皮下脂肪は燃えません。1回の運動時間を30分以上にしましょう。

ウオーキングの勧め

健康づくりの基本動作

生活習慣病の予防の基本動作

運動療法の基本動作

『歩く』運動の正しい知識を身につけましょう!!


効果的な運動量      運動強度 運動時間

運動の頻度        目標心拍数 脈拍の測り方

心拍数の測り方      運動の種類 健康増進の基礎知識 

        

歩きやすい服装で・・・

動きやすく

汗をかいても良い服装で

靴は軽くて通気性の良いもの

そこが厚くて、滑りにくい、クッション性が高い

ジョギングシューズをすすめます。

小銭やタオル、ちり紙、身分証明書(連絡先)等を携帯すること大切です。

ポケットのある上着、又はウエストバックを用いましょう。

姿勢で『歩く』・・・速度が変わります。

あごを引き、背筋を伸ばし、腹を引き締めて、腰を伸ばして

歩幅を広げて・・・

膝を伸ばして足先をしっかり伸ばして着地・・・       

着地はかかとから つま先で地面を蹴り体を前に進める・・・


3 危ない民間療法

マスコミ、チラシなどを賑わすダイエット法や痩せる薬。毎年多くのものが出てきますが殆どはごく一時的な効果のものです。全然効果のないだけならともかく、健康を害するものが大半です。医者が推薦しているものの中にもいいかげんなものが多くみられます。口の上手い医者には要注意です。

やせ薬

大半は効果のないものか以下のような危険なものです。

   

1 利尿剤・下剤 

(一時的に脱水状態になりますので体重は減りますが非健康的な方法です)

 

2 甲状腺ホルモン剤

  以前、中国のやせ茶に含まれていたことがありました。

(身体の代謝量を増加させ甲状腺機能亢進症またはバセドウ病状態になりますが将来取り返しのつかないホルモン関連の大病をひきおこします。)

3 覚醒剤

(食欲抑制効果をもつものがありますが依存性、中毒性が強く違法なものです。犯罪です。

美容サロン

低周波パルス

イオン刺激

海草、泥パックなど

これらは理論的な裏付けなどないものがほとんどです。


4  外科療法

おなかの脂肪を吸い出す手術などがありますが、手術後感染を引き起こし命取りになることもあります。脂肪塞栓になって命を落とした人もいます。生活を変えなければまた脂肪はすぐ貯まってきます。特別な場合を除き絶対お勧めできません。


最近話題の死の四重奏の話

別名シンドロームX、メタボリックシンドロームとも言います

恐ろしげな名前がついていますが動脈硬化症を引き起こす危険因子の組み合わせのことです。これらが合併することにより動脈硬化症、例えば脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症になりやすく、また重症化しやすくなります。 この4つ全部持っている人はひと一倍治療に励んでください。ひとつひとつはたいしたことがなくても下記の4病が集まるとリスクが跳ね上がります。

1)リンゴ型肥満 

2)糖尿病    

3)高中性脂肪血症

4)高血圧症