|
診療所への上手なかかりかた
出来るだけ効率よく無駄な時間や無用のトラブルを避けるために以下の準備をしましょう。
1 自身の病歴の整理(メモしておく)
2 複数回の診察を受けることが大切
3 必要ないと思った症状でも正直に打ち明ける
4 医師と患者さんの関係について
5 医薬分業の医院(診療所)が望ましい
6 セカンドオピニオンについて
1 自分の病歴を整理しておく
病気の経緯を病歴といいますが、病院にかかる前に自分の症状を出来るだけ分かりやすく整理しておくと、診察がスムーズにゆきます。
「いつから」
「どんな症状が 」
「どれくらい続く」
「どんな治療をしたか」
等を頭に入れておきましょう。(メモが好ましい)
2 慢性疾患では複数回の診察を受けることが大切
風邪や湿疹ならば一回の診察で済むこともありますが、普通はある程度継続した治療や経過観察が必要です。治療が中断すると、治癒が遅れることがあるので必ず医師の指示に従って下さい。
3 必要ないと思った事態でも正直に打ち明ける
医師と患者の関係は、対等な立場です。医師の前に座ると必要以上に緊張して大事な事を医師に告げることが出来ないまま、診察を終えてしまう人がいます。これは患者自身にとってはもちろん、医師にとっても大変不幸なことです。聞かれたことはもちろん、「これは言っておいた方がいいな」と思う事は、必ず診察時に打ち明けて下さい。医師は出来るだけ情報を聞き出そうとはしますが、最後は患者さん本人の姿勢にかかっているのです。また、患者さんが関係のないと思ったことのなかにも大切な情報が隠れていることもあります。正しい情報が無ければ、正しい治療も出来ません。「こんな事を言ったら叱られる?」とか、「こんな恥ずかしいことは言えない」特に他院にかかっていることなど隠しても得することはありません。患者さんの秘密を守る事も医師の仕事の一つですから。
4 医師と患者さんの関係について
例えば糖尿病は、他の病気と異なりインフォームドコンセントにプラスして信頼関係を基礎にした新しい関係が必要です。「指導管理」というと一見、上下関係にも見えるのですが、医師と患者さんの関係に上下関係があってはなりません。医師は契約によって患者さんの治療内容に責任を持つ。患者さんは医師の指導を守ることで契約を履行する。
・・・・・・・・
糖尿病専門医はたしかにえらそうにみえるのは事実ですが患者さんのためでもある訳です。指導形態に過ぎないのですから・・・・とはいうものの患者さんも変な指導に対して文句の一つも言うべきなのです。
・・・・・・・・
診察が終わった後で医師から患者さんへの「お大事に!」はまあいいとして、患者さんから医師への「ありがとうございました」はおかしいと思いませんか?
・・・・・・・・
夜中にたたきおこして往診してもらった訳でもないのだから・・・・日本語にてきとうな言葉がないのですが挨拶として変ですが、あえて言うと「先生のいいつけを守ってやるよ!」「また来ますね!」くらいかな?・・・・・・・・
5 医薬分業の病院(診療所)が望ましい
もう忘れてしまったかもしれませんがソリブジン事件というのがありました。これは飲みあわせによる事故で、不幸にも犠牲者が出てしまいました。それぞれの薬は良い薬であっても、飲みあわせの相性が悪ければ事故につながるのです。医師は、他の病院でもらっている患者さんの薬を全て把握することは現実には不可能です。(自分の医院のお薬の飲み合わせについて把握するのがやっとです。)場合によっては、患者さん自身が薬の内容を知らない場合もあります。今後も高度な薬が益々増え続け、飲みあわせによる事故が多発するものと推察されます。
医薬分業はこれを防ぐ唯一の武器なのです。薬剤師は患者さん一人一人に「薬歴簿」というものを作成します。複数の病院に通っていても、かかりつけ薬局がひとつならば薬剤師が医師に対して指摘してくれるので、飲みあわせ事故は防ぐことができるのです。諸外国では常識である医薬分業でも、日本ではまだ一部です。今後我が国でも分業が増えることが望まれています。多少費用が割高になるのも事実ですが、それに見合う以上の安全を得ることができます。
最近、同業者の私から見ても個人病院、中規模病院の金儲け主義が鼻につくときがあります。
1)白内障の手術の例、高齢者や、基礎疾患の重い人ならいざ知らず、日帰り手術が日常化しているのに3日以上の入院を強要する病院。
2)大腸ポリープの例、1泊2日の予定でポリープ切除する予定だったが、実際大腸ファイバーしてみると切除の必要がなかった。でも予約しているからと入院させられた。
このように、簡単な手術でさえ金儲けに走る病院が多いのですから・・・・大手術ともなれば何をされるかわかりません。やはり命に関わる病名を告知されたとか、全身麻酔手術を受けるときには、もう一軒の病院の医師にも意見を聞いてみるというのを「セカンドオピニオン」といいます。もし2つめの病院でも同じ診断や同じ治療法でしたら問題ないのですが、全く違った場合、サードオピニオンが必要になるかもしれません。そのためにも普段から関連病院を複数持つかかりつけ医と上手につきあっておくのも得策ではないでしょうか?
大きな病院(大学病院、基幹病院)への上手なかかりかた
200ベッド以上の特定機能病院や基幹病院などの指定を受けている病院は、原則として紹介状を持ってゆかないと外来診療が受けられません。保険点数的に恩恵を受けているこれらの病院では、もし救急などで紹介状を持ってゆかないと初診料を自由に決定してよいことになっています。この多くは診療費プラス¥3000〜¥5000という余分な出費になります。これで開業医と同じ治療だとしたら無駄きわまりないですね。ここでかかりつけ医の紹介状を持ってゆくと希望する専門医の診察も受けられますし、紹介医との連携があればさらに詳しい情報が得られます。場合によっては検査だけ行って、結果はかかりつけ医でというように時間の節約になります。このように開業医を選ぶときには機関病院と連携を持つ医師を選ぶことが大切です。
最近は大病院志向であると言われます。「大きな病院で診てもらわなきゃ」という風潮があります。確かに大病院には立派な設備が整っています。だからといって最初から行くと無駄な検査ばかりか希望した専門家にすら診てもらうのは不可能に近いのです。大きな病院では1つの診療科の中がいくつかの専門科に分かれています。その専門科の中はさらに狭い分野に分かれ、グループごとの診療にあたっていることが多いのです。大病院はスタッフも豊富ですが、そのぶん医師を含めて不慣れなスタッフが多いのも現実です。
卒業して間も無い医師や看護婦の研修の場でもあるからです。医師の数こそ多いものの仮に飛び込みで受診した場合、自分の病気に対する専門医に当たる確率は相当に低いと覚悟しなくてはなりません。さらに大病院では万全を期する名目で様々な科をたらい回しにされ、3時間待ちの1分診療で次の科の受診時には既に他科の受け付けは終了しており、すべての科のスケジュールを終えるのに2週間以上を要するのが一般的です。専門科中の専門ゆえ病状の説明も非常に難解で、たとえ丁寧な説明でも理解するにはある程度の専門知識が必要になります。また投薬について、各科は独立して処方するため出された薬の飲み合わせなどのチェックさえもないことがある。(一部の基幹病院ではすでに対策が行われている)
ある患者さんが近くの調剤薬局で服用薬を見てもらって初めて内容のチェックがなされ、過剰投薬による副作用直前だった例も報告されています。特に患者さんは健康な人に比べてもお薬に対する許容力がないので、健康食品や漢方薬信仰をあらためて欲しいし、医療機関側でも薬の適正使用が求められているのが現状である。結論としては、大きな病院(大学病院)を希望する場合、必ずかかりつけ医に紹介状を書いてもらうことで直接に専門科の担当医の診察を受けることができるし、場合によっては待ち時間が短縮することさえある。しかも紹介医にも病状の説明があるため、専門的な病状結果説明が、かかりつけ医からも受けられるし、加えて治療内容のチェックも受けられるため、くすりの副作用の早期発見も可能になることがあります。大病院がその真価を発揮できるのは、難病やがん、それに特殊な治療を必要とする疾患の場合です。しかも大病院は診察から帰宅まで長時間を要します。朝から夕方までかかることも多くお年寄りや衰弱患者の場合、単なる風邪程度でで病院通いをすれば、最近話題のMRSAやO157といった難治病などの余病を貰ってしまい、命取りになりかねないでしょう。