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定義
上気道炎や一部下気道感染(急性気管支炎)を含んだ急性カタル性気道感染症の総称である。昔から風邪は万病の元といいますが、油断はいけません。また夏風邪は治りにくい病気の代表ですが、クーラー、扇風機の使用が悪化させている場合もあります。炎症が上気道に留まっている場合、症状はくしゃみ、鼻汁、鼻閉、のどの痛みなどですが、下気道にまで及ぶと咳、喀痰がでます。また全身倦怠感や食欲不振、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛などの全身症状が出現するばあいもある。原因は一般にその80-90%はウイルス感染が主体ですが、ひどくなると細菌の2次感染をひき起こし気管支炎や肺炎を併発します。マイコプラズマやクラミジアが原因となることもある。また、胃腸に炎症を起こし嘔吐、下痢を引き起こすものもある。特にインフルエンザウイルスは伝染力が強く2次感染も起こしやすく乳幼児やお年寄りには要注意です。
かぜの予防
1)栄養不足に気をつけましょう。特にたんぱく質やビタミン類が不足しないようにバランスにも気をつけましましょう。
2)外出後にはイソジンうがい液などでしっかりうがいをしましょう。
3)睡眠を十分にと翌日にり疲れを残さないようにしましょう。
4)鼻汁に多量のウイルスが存在しますので手洗いをしましょう。
かぜの治療
かぜの原因の大半はウイルスですので、保温,安静,水分補給を含めた栄養摂取などの一般療法および対症療法が基本となります。いわゆるかぜ薬については次のようなものがあります。
1)頭痛、咽頭痛などの症状が強いときや、発熱が38.5C以上となった時には、解熱剤(坐薬を含む)も使用することがあります。
(子供では39゚C近くなると熱性ケイレンをおこす体質の場合は積極的にアセトアミノフェンなどの内服や坐薬を用います。 しかし、発熱反応自体はウイルス増殖抑制に働きますのでむやみに解熱させる必要はありません。ごくまれに、解熱剤でライ症候群とよばれるけいれんを伴う脳炎を引き起こすこともありますので使い過ぎないようにしましょう。
2)咳や痰には、咳止めや去痰剤などを使用します。
3)鼻汁、くしゃみには抗ヒスタミン剤を使います。この薬は人によっては眠気が強く出ることがありますので車の運転などについては要注意です。また、口や喉の渇きがでることも多いようです。
4)抗生物質:通常、かぜの大半はウイルス感染であり抗生物質は無効です。しかし、一部では細菌による2次感染をおこしているケースもあり、このような場合では抗生物質が必要です。また、インフルエンザはこの2次感染が多いので注意を要します。
かぜの検査
咳や高熱がなどの症状が強いときなどには肺炎などの2次感染を起こしていることがあります。このようなときの代表的な検査には次のようなものがあります。
白血球数(WBC):細菌やウイルスなどの外敵と戦う血液細胞です。細菌感染の時はこれが10000/μl以上に増加ます。ウイルス感染の際は減少することがあります。
CRP(C反応性蛋白):炎症の強さや広がりを反映する検査です。炎症が起こると速やかに上昇し、軽快すると同時に低下します。健常人では0.6前後です。
マイコプラズマ抗体:肺炎を引き起こすマイコプラズマ菌の感染の有無を調べます。この肺炎は数年周期で流行し、咳が多いのが特徴です。全身状態は良くて、比較的元気な人がかかります。
喀痰検査:炎症を起こしている原因菌を調べるため喀痰をだしていただいて菌の培養検査いたします。(病理)
胸部X線検査:肺炎であれば肺の一部が雲がかかったように白く写りますし、気管支炎では気管支にそって炎症がみられることもあります。
咳や熱が長引く、胸の痛みがあるといったときは、以上の検査を必ず、受けるようにしましょう。
風邪の時の食事はどうしたらいいですか?
体温があがると基礎代謝が亢進します。(体温1℃の上昇で10〜15%も増加)さらに、発熱が続けば体タンパク質の崩壊がはじまり、ますます代謝量が増加します。細菌やウイルスが感染すると、ビタミン類や鉄分や亜鉛などの無機質が消費され欠乏状態に陥り、免疫力の低下などをきたします。高たんぱく、高エネルギー食がお勧めですが、糖尿病の方はカロリーオーバーにならないようちょっと注意が必要です。
たんぱく質:
良質(たんぱく価の高い)のたんぱく質を十分に補いましょう。白身魚や脂のすくない肉を入れた鍋物やシチューがお勧めです。発熱すると新陳代謝が高まって、たんぱく質の分解が早くなります。また、たんぱく質にはウイルスに対する免疫物質をつくるという重要な働きもありますので、体力の消耗を補うためにも良質のたんぱく質を普段より多めにとってください。たんぱく質を充分にとると、熱が余分に発生し身体が温まります。白身魚や脂の少ない肉を入れたなべ物、シチューなどはたんぱく質が豊富で料理そのものも温かく風邪にはぴったりの料理といえます。
ビタミンA:
身体の粘膜形成に不可欠なビタミンです。不足するとのどや気管の粘膜が弱くなり風邪ウイルスの侵入を許してしまいます。ビタミンC:抗ストレス作用、抗酸化作用をもち組織のダメージを防ぎます。
脂質:
植物油にふくまれるリノール酸抗ストレスホルモンの合成、放出を促します。寒さのストレスに対し十分にとるよう心掛けましょう。とは言いますが、風邪の時にこってりしたものを大量に食すると消化にエネルギーを使い果たして治りが遅くなるので、炭水化物がメインの食事の方がいいでしょう。
ビタミンCとビタミンA:
ビタミンCは化膿菌や病原菌の増殖を抑えたり、ウイルスの活動を抑えるインターフェロンの生成、分泌に不可欠なビタミンです。十分にとることが風邪の予防につながります。またビタミンAは粘膜形成に必要なビタミンです。粘膜を丈夫にしてウイルスの侵入を防ぎましょう。
下痢の時の食事はどうしたらいいですか?
下痢の時は、腸管のぜん動が亢進することにより、食べ物が速やかに大腸を通過するため、また腸管粘液の分泌亢進のため起こります。
避けたい食品:
1)食物繊維を多く含む食品(腸管運動を刺激するので、例えば:海藻、豆類、いも類など)
2)冷たい飲み物、炭酸飲料、アルコール
3)香辛料
注意してとる食品:
脂肪性食品、牛乳-----やはりお腹に負担です
牛乳------------乳糖不耐症の人は禁止
糖質:
おなかをこわしたというと「おかゆ」を思い出しますが、実はおかゆをあまり噛まないで食べるよりは、柔らかめのご飯を良く噛んで食べるほうが消化吸収がよいのです。また、煮込みうどんなども良く噛んで食べましょう。腰のあるうどんはやっぱり消化が悪いのです。良く噛んで食べましょう。玄米、黒パン、ラーメンは避けましょう。
たんぱく質:
白身魚。鶏のささ身、脂肪の少ないひき肉、半熟卵、豆腐などを少しずつとるようにしましょう。
脂質:
回復期に入ってから徐々にとるようにしましょう。
ビタミン・ミネラル:
繊維の少ない柔らかい野菜を煮たり、果物(リンゴなど)で補いましょう。(じゃがいも、なす、タマネギ、ホウレンソウ、カリフラワーなど)すりおろしたリンゴ汁などはグットです。
その他:
ヨーグルトには整腸作用がありお勧めです。