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最近当地区の自治体検診で DIP法(MD法)という手指のレントゲン写真をコンピューターで解析して骨塩量を測るという方法が使われていますがこれは全く不正確で信頼も薄いのです。できることなら受けないほうがいいでしょう。最近、現実に全身DXA法で50%以下の骨粗鬆症がDIP法では80%以上で正常という症例を経験しました。
骨量が減少して骨の中がスカスカになってもろくなった状態、骨の密度が減って 体を支え切れなくなる病気
医学的には、加齢に伴う原因不明の骨量減少とそれに伴う易骨折性や腰背痛などの臨床症状を呈する症候群
どんな人がかかりやすいか
どんな症状か
骨粗鬆症によく似た病気
骨軟化症 (ビタミンDの不足によって骨の石灰化ができない状態)
副甲状腺機能亢進症(骨からカルシウムが溶け出て尿から出て骨がもろくなる)
癌の骨転移 (安静にしていても痛みが強く激しく持続する)
診断方法
骨量測定装置(前腕部の骨スキャンSEXA法,DEXA法)が現在の検診の主流。特にレントゲン被爆が少なく(約1/100)機種によっては妊婦でも可能、骨密度精度が高く、左前腕遠位部の測定が全身の骨量をよく反映する
かつては臨床症状(高齢や 腰背痛 猫背 寝たきり等)で診断していた
X線撮影(腰椎 骨盤骨 大腿骨)は精度が低く専門医の読影が必要
CTスキャン(腰椎)は 精度の割に被爆量が多い。MD法またはCXD法(中手骨レントゲン)は誤差が多く使用不能。踵骨超音波は普段の歩き方や姿勢による個人差が大きい
精密検査として腰椎骨盤骨のDEXAスキャン法(全身型)があるが、被爆量はやや多く、技師による誤差も多く経過観察には不適当である。現在のところ腰椎に関して現在この方法に優る検査法なし骨MRIも施設が少なく精密検査としては実用的でない
前腕骨DEXA骨塩量測定装置
骨塩量(骨密度)を理解しよう
骨のカルシウム最大量は20歳~30歳でピークに達し、男性は50歳台まで維持できるが、女性は40歳より急速に減少し閉経を期にさらに減少する。したがって貯金の如く、20〜30歳台でいかに多くの骨塩をためておけるかが、骨粗鬆症の予防につながると考えられている。
骨量の測定の意味は、高齢者の骨粗鬆症の発見治療にも大切であるが、むしろ30歳台での最大骨量をチェックすることに加え、40歳台の骨減少の早期発見(カルシウム ドック)、50歳台での経過観察が将来にいかに大切であるかである。
しかしながら、どんなに骨塩量が多くても、急に重いものを持ち上げたり、転んだり、無理な姿勢で仕事をするなどの骨折の危険のある行為をしないことなど日頃の心がけが大切です。
骨塩量を増やすためにカルシウムを多く取る(牛乳 乳製品 小魚など)
カルシウム吸収抑制物(清涼飲料水 食塩 アルコール
高タンパク食品 インスタント食品
食物繊維 コーヒー 喫煙など)
を控える
ビタミンDを取る (きのこ類、海草、青魚)
日光浴をする (ビタミンDを活性型にする)
-----活性型ビタミンDがよく使われています。
よく運動をする (カルシウム吸収を助ける)
ダイエットをしない(細い若い女性で骨塩量低下例が多い)
リンの取りすぎに注意(米飯の食べ過ぎに注意)
牛乳の役割
最も吸収が良いカルシウムを多く含む為
1日のカルシウム必要量600mgのうち、少なくとも
牛乳200〜400ml(カルシウム200〜400mg)を取る
牛乳の飲めない人は他の乳製品(チーズ ヨーグルト,スキムミルクなど)を多く取る。
運動療法のその他の利点機敏性の増加
筋力増加
協調性能力の増加
ストレスの発散
動脈硬化の予防
転倒しにくくなる(骨折頻度の低下)
1992年度大腿骨頚部骨折 男 18700人
女 57900人
骨粗鬆症治療の目的
骨折の予防
(手首前腕部 大腿骨頚部 腰椎圧迫)
腰背痛の改善
骨塩量増加
動脈硬化の予防
骨粗鬆症薬剤治療
食餌療法
カルシウム剤内服
活性型ビタミンD内服(骨形成促進、カルシウム吸収促進)
カルシトニン製剤注射(骨吸収の抑制)
骨吸収抑制剤内服
女性ホルモン剤内服(骨吸収の抑制)
以上のように病状によって色々な治療を加える
カルシウムパラドックスについて
カルシウムの99%は骨の中にある 骨のカルシウムの1万分の1が血液中にあり、 血液中の1万分の1が細胞内にある この濃度の差がエネルギーのもとになる カルシウムの摂取不足
マ血液中のカルシウム不足
マ骨からカルシウムが溶出
マ血液中のカルシウム増加
マ脳や血管内にカルシウム増加
これらの余分なカルシウム増加は、高血圧、動脈硬化 糖尿病、尿路結石、ボケ症状などの原因となる 骨粗鬆症の人に成人病が多い原因の一つと言われ このようにカルシウムの摂取不足があると、逆の作用で 血管内にカルシウムが溢れて組織に溜まってしまう これらの現象をことをカルシウムパラドックスという
カルシウム食品について
(吸収されやすい順番)
活性型カルシウム (牛乳 乳製品)
炭酸カルシウム (カニ エビ 牡蠣や卵の殻)
リン酸カルシウム (小魚)
シュウ酸カルシウム (海草 ほうれん草など)
乳酸カルシウム
グルコン酸カルシウム
アスパラギン酸カルシウム
の順番に体内によく吸収する
酸化カルシウム 塩化カルシウム(人には有害)
したがって今日からでも遅くありません
牛乳でもカルシウム食品でも結構です
活性型カルシウムを中心とした食生活に心がけましょう