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中国に桜公園を夢見て

私が初めて中国の地を踏みましたのが今から11年前の10月のことでした。以来、中国の魅力にとりつかれたかのように、かれこれ30回近くもまいりましたでしょうか、この間、中国各地で色んな方から温かいおもてなしを受けてまいりました。

私が出会いました方々は皆さんとても良い方ばかりで先般のような反日運動を目にしますと同じ民族の方があのような行動に出るのかと、信じられない気持ちでいっぱいでした。そして悲しく寂しい気持でニュースを見ておりました。

先般お亡くなりなりましたが中国の沙漠の緑化に情熱を傾けておられました遠山正瑛先生の等身大の立派な記念像が先生の功績を称えた文面と一緒に内蒙古自治区の先生が緑化をしました砂漠の中に建っています。その前で中国の方が「この先生は立派な方です中国のほとんどの方は知っています 先生の行っている事に中国国民は深く感謝しています」と尊敬の眼差しで説明してくれました事が今でも忘れられません。
また皆さんも、ご存知だとは思いますが岡山の後楽園には今から50年前に中国科学院院長でした郭沫若先生がタンチョウ鶴を寄贈されました経緯にまつわる先生直筆の句を刻んだ碑があります。

戦前、岡山で学んだ事のある先生は戦後、岡山を訪問されました時に以前は後楽園から見えていた岡山城が空襲で焼けて見えなくなった姿を見て悲しく思い「せめて鶴を立たせて後楽園の良き伴侶としたいと」言う思いで句を読み1956年にタンチョウ2羽を寄贈されたのです。

私は中国の友人が岡山に来られますと必ずこの場所にお連れいたします。中国の皆さんは先生のことは良くご存知 で「わー」と歓声を上げその場を長 く離れようとはいたしません。 中には、たどたどしい日本語で漢 詩の意味を一生懸命に説明してくれ る方もいます。 これら2つの例をみても先人の方 が形で残したことに両国の後輩達が 感銘し、その事が両国民の友好に大 きく寄与しているのだなと強く思え てなりません。

           
                      
韶関大学の桜公園建設予定地

私も常々、中国と日本の友好につながる形あるものを後世の方に残せないかと考えてまいりました。 そんな思いでいました時、日露戦争で多くの日本人が亡くなりました203高地に立ち寄る機会に恵まれ、その入口ゲートの側に沢山の桜の木が植えてある光景を目にする事ができました。この時、案内の方から「毎年、桜の開花の時期には桜祭りをしていますよ」と言う話がありました。以来、私も中国で桜公園を作ろう、そして美しい桜の花を通して両国国民の友好を・・・という思いを強くしていったのです。

しかしながら一口に桜公園造園といいましても中国側の協力者を必要とし、しかも桜の木が育つ環境と言えば、なかなか、そう簡単には行きませんでした。そんな折、私が中国で知り合い今日まで友好を深めてまいりました親友の王羽梅教授が内蒙古自治区に有ります内蒙古農業大学から南の暖かい広東省韶関市の韶関大学に変わられる事になりました。

 
種を蒔いたポット

王教授は現在、韶関大学の生物工程学院の院長で生物学の専門家であることはもちろんのこと全国人民代表や韶関市のあらゆる要職も兼任され多方面とのパイプも太く桜公園の協力者としては、これ以上の方はいませんでした。「建設場所には現在キャンパス内の整備拡張工事中の韶関大学に」と言う学長さんの強いご要望もあり、場所は大学の中に決定し第一歩を踏み出しました。
場所が決定いたしましたので昨年の6月に多くの方々の協力で桜の実から種を採取することから始め8月に日本に来られました王教授に発芽する事を祈りながら託しました。


                      挿し木の様子          染井吉野の苗

さらに同年12月には染井吉野の苗を枯れない事を祈りながら1本送りました。そして12月7日に挿木用の枝、大島桜、染井吉野、枝垂れ桜を各8本ずつ持参し韶関大学に向かいました。現地に着きますと温室の中に送りました苗が無事元気に根付いており種もポットに蒔かれて担当者もつけられ、しっかり管理されていました。その状況を見て安心すると共に、さすがに王教授だ!とても信頼できると改めて感激しました。早速、持参しました枝を用意していただいた挿木用の土に関係者全員で根が出ますことを祈りながら刺してまいりました。挿木から発根し、そして蒔きました種が発芽し大きく育ち、いつの日か日本のお花見風景と同じように桜の花の下で、たくさんの人々が集いお弁当を広げお酒を酌み交わし楽しむ光景を見る事ができるように、そして日本と中国の人々が美しい桜の花を通して、両国民に対して少しでも思いやりの心が生まれる事を祈りながら現地を後にいたしました。

2006年1月6日

古山哲男

 


 

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