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老人問題によせて....................中桐 凖一郎

最近マスコミ報道等で、本来、働ける老人が、趣味にふけって、労働しないのは、問題だ。
少子高齢化によって、労働人口が、減少している昨今、高齢者の、就労への復帰を促すべきだ、との発言が、多くなっている。
ところで、国内の景気回復局面は、5月で、52ヶ月となり、バブル期の平成景気(1986〜1991)を抜き、戦後二番目の長さとなるのが、ほぼ確実となっている。
この時期だからこそ、就業人口を増やし、より収益を拡大しようとする経済界の思惑がこの発言をもたらしたものと思われる。
私としては、もっと大事な問題があるのではないか。それに取り組まずして、ほっといてくれ、と言いたい。人それぞれ、生き方がある。私は、65才まで働いたが、僅かな年金の生活でも、自分の余生を、自分なりに、悔いのない生き方をしたいと思っているし、そう思っている人は、私だけではあるまい。
経済界も、目先の利益のみを追ってはだめだ。経済学者、小宮隆太郎さんは、「経済社会の目標は、国民一人一人の厚生、英語で言えば、WELFARE を着実に向上させることだ。所得だけでなく、環境、治安、医療、社会保障などの質を高めることも大切だ。」と言っている。
また、小宮さんは、こうも言っている。
「合計特殊出生率が、1.3を下回る現状は、人口減少のスピードが速すぎる。高齢者や女性がもっと働く工夫をしても、今のスピードでは、現役の人たちが支えきれなくなる。
移民頼りは選択肢にならない。今までの出生者と同じくらい移民を入れるなら、毎年百万人規模が必要だ。一方、2004年末の登録外国人の内、永住者は、77万人にすぎない。年間百万人の移民を受け入れるのは、これを見ても現実的でない。
そこで、出生率を、1.8まで高め、人口減少のスピード遅くすることを、重要な政策目標とすべき段階にきている。子供は、将来、納税者や社会保険料の支払い者となり、高齢者を支える。子育ては一種の外部経済効果を持つとの認識が、政府にも企業にも国民にも必要だ。女性が子育て後に、復職できる仕組みづくりに知恵をだすべきだ。」と。
目先のことにとらわれず、一番大事なことに、国を挙げて取り組む時に来ていると思う。

日本経済新聞・平成18年4月5日・日本を磨く・新しい国のかたち
経済学者・小宮隆太郎氏論文・一部引用
(注)合計特殊出生率 女子の年齢別出生率を合計したもの。女性一人当たりの平均子供数を表す。
平成18年5月12日
中桐 凖一郎



 

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