2009.9

シルクジャスティス15歳 畠山牧場にて

 

 2009年9月…
 大好きなシルクジャスティスも、15歳の秋を迎えました。
 誰かのブログで、「会いに行くまで生きていてくれ」ということが書かれていたのをみて、ついつい「自分もジャスティスが元気なうちに一度会いに行こう」と思いついてしまいました。
 競馬場以外でジャスティスに会ったのは、自分が結婚した直後の1999年11月の一度きり。まだジャスティスは現役でしたが、故障で長い休養に入っていました。場所も、まだあの早田牧場新冠支場でした。
 
 近年は、種付け頭数も減少してきているので、もう種牡馬も引退なんだろうなと思いながら、本当に幸せな余生を過ごしているのだろうかと、気になっていました。
 9月の北海道は、秋の気配が漂っていました。
 
 思いつくといてもたってもいられなくなり、気がつけば日高の海沿いの国道をレンタカーで走っていました。
 
 
 9月の北海道は、既に秋の気配が漂っていました。
 前回のときは、現役のシルクホースクラブ所属馬でしたから、クラブを通じて予約をして行けましたし、早田牧場でも丁寧に説明をしてもらえました。(そういや、スギノハヤカゼとかも見せてもらったなあ。懐かしい…)
 
 今回は、「競走馬のふるさと案内所」に前もって電話を入れてから訪れることにしました。
 静内の市街地に程近い案内所から、延々と北に向けて川沿いに走ります。「15分くらいですよ。看板もありますから大丈夫。」と言われていましたが、危うく通り過ぎてしまうところでした。
 
 
 実は、牧場見学というものは、先に書いた早田牧場以外には行ったことがないので要領がよくわかりません。
 一応、見学マナーというかルールくらいはわかっていますが、どこにどう話をしたらよいのか…
 畠山牧場に着いても、声をかけようにも人影がないので、とりあえず玄関のベルを押してみました。すると、中から長靴を履いたおじさんが出てきましたので、「あの〜、見学をしたいのですが…」おずおずと聞いてみました。
 すると…「ああ、ジャスティスですね。」
  何も言わなくとも通じました。
 この方が牧場のご主人だったかもしれません。
 
 失礼して少しお話をさせていただきました。うれしいことに、今でもジャスティスを見に訪れる人は多いそうです。(この日も、つい1時間くらい前に3人連れの方が見に来ていたそうです。)
 「元気にしていますか?」とお聞きすると、とても元気とのこと。まずはほっとしました。

 そして、今でも自家用と言いながら、3〜5頭程度は種付けもしているそうです。
 畠山牧場さんといえば、早田牧場が例の事件もあって倒産してから、行き場がなくなったときに引き取ってくれた方で、ジャスティスにとっては恩人のような方です。
 お話をお聞きすると、「これだけの馬だから、誰かがちゃんと見てやらないといけないと思ったんだ。」とのこと。
 以前にこの牧場の関係の方からメールをいただいたことがあり、畠山牧場さんの愛情の深さはよくわかっているつもりでしたが、お会いしてみて本当にそのとおりと思いました。
 
  
 そして、いよいよジャスティスのところへ…
 牧場から数100mほど先の牧草地に放牧されているとのことです。車で行くとほんの数10秒くらい。
 青草がたくさん茂った広々とした特等席ともいえる所に…いました!
 
いました!この美しい栗毛と額の流星と大きな腹袋は間違いなくジャスティス!
 
 

   
 本当に久しぶりの再会です。引退レースとなった2000年5月の金鯱賞を中京競馬場に見に行って以来ですから、9年ぶりです。
 美しい栗毛や少し曲がった大きな流星。トレードマークともいえる大きな腹袋は、遠くからでもすぐにわかります。天気がよかったせいもあるでしょうが、毛艶がきらきらと輝いていました。
 正直なところ、もっとよぼよぼになった姿を想像していたのでびっくりです。本当に元気そうで…なんか嬉しくてじんとしてしまいました。
 
 現役当時、ジャスティスには何度も嬉しい思いや悔しい思いを共有させてもらいました。日常生活が苦しいときの支えになってくれていたと、懐かしく思い出します。(もちろん、本人はそんなことは全然考えていないでしょうけど。)
 
 種牡馬としては、決して成功したとはいえないでしょうが、少ない産駒が勝ったりすると関係者でもないのに喜んでいます。
 
 そして、再会した当のジャスティスはというと…
 やっぱり食いしん坊です。食べています。ひたすらむしゃむしゃと…
 
 歩いている様子は、さすがに老いを感じさせるところがありますが、道路脇の牧草地で車や自転車が横を通り過ぎても悠然としています。

 高校生が自転車で通り過ぎていきました。「あ〜、この子らは毎日ジャスティスを見ながら通学しているんだろうなあ…」と思ってちょっとうらやましい。
 
とにかく食べてばっかり…
 
 

   
 ぽかぽかと気持ちのよい天気でしたので、しばらく道端にしゃがんでジャスティスを眺めていました。ジャスティス本人は、そこに誰がいてもあまり関係ない感じでしらんぷり。ひたすらもしゃもしゃと青草を食べています。相変わらずの食いしん坊でした。
 そして、かなり時間がたってから、やっと顔を上げたジャスティス。こっちの方にてくてくと歩いてきてくれました。でも顔が…半分寝ています。
 
お年寄りが昼寝から目覚めたような顔つき
 
 

   
 やがて、こっちのほうを見つめてくれました。が、覚えているはずもなく…
 すぐにまたむしゃむしゃと…
 ほほえましい雰囲気は、年をとっても変わらないなあ。どうか、幸せに長生きして欲しいと願わずにはいられませんでした。
 
じっと見つめるジャスティス。このあと木の柵をくわえてがじがじ…