東日本大震災後の防災・減災
---------------最終更新日:2014.2.9

東日本大震災の貴重な教訓の一つは、「自然には勝てない」ということであった。 「逃げるが勝ち」。
ヒトの作った盾のなんともろいことか。ヒトの知恵のなんと浅いことか。ヒトの力のなんと弱いことか。
自然の猛威すべてを防ぎきる事は不可能で、その災禍をなるべく減らすという謙虚な姿勢を忘れてはならないように思う。

東日本大震災に匹敵する東海・東南海・南海連動型の超巨大地震が起きる前に何を考え、何をなすべきか。
震災の教訓をふまえ、消防団の一員としていろいろ考えてみた。


26年ぶりに消防団の装備が一新
---------------最終更新日:2014.2.9

消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律』が平成25年末に成立。
その詳細が総務省消防局から「消防団の装備の基準等の一部改正」として発表された。
こちらに一覧表にまとめてみた。

災害時の情報伝達について
---------------最終更新日:2012.3.24

1,災害の規模と消防団の情報伝達手段

社会が情報化されればされるほど、情報に依存すればするほど、インフラが機能停止になったときの影響は大きい。
情報伝達方法の多重化(バックアップ手段の用意)と状況による適切な選択、組み合わせが必要だ。
もちろん情報機器を作動させる予備電源、発電機とその燃料、携帯ライトを事前に確保していることが大前提ある。

東日本大震災後に福島市が調査した災害時の情報連絡体制報告書および日本消防協会の東日本大震災消防団報告研修会資料、NPO 法人 環境防災総合政策研究機構 CeMI環境・防災研究所の東日本大震災時における消防団活動の実態調査報告 ver1.0は参考にすべき。

「消防本部から消防団への情報連絡体制についてでありますが、地震発生直後は、一般電話及び携帯電話とも不通または非常につながりにくい状態となったため、消防無線やEメール指令システムで連絡し、被害状況の把握要請や、火災等災害発生の連絡、消防団施設の被害状況の報告要請等を行ったとのことでありました。
課題としては、本部員から消防本部、消防本部から消防団、さらに消防団から各分団にいたる情報伝達が末端まで伝達されたのかの総括が必要であること、また、大災害時の全市的な消防団の情報連絡体制について検証し、よりよい情報連絡体制の確立を図るべきであるとの意見がありました。 (平成23年6月福島市議会定例会 総務常任委員長報告より抜粋)」

    想定される災害、状況
    (倉敷市沿岸において)
    双方向通信手段 情報取得手段
    災害時
    優先電話
    携帯
    電話
    インター
    ネット
    無線機

    バイク
    人力
    (足,自転車)
    テレビ
    携帯
    ワンセグ
    ラジオ
    防災
    無線
    広報車
    連絡網
    大↑災害規模↓小
    小惑星衝突等の全地球的災害
    -
    -
    -
    -
    -
    -
    -
    超巨大地震※1+EMP
    ×
    ×
    ×
    ×
    ×
    ※3
    ×
    ×
    ×
    ×
    ×
    超巨大地震※1+停電
    ×※4
    ※2
    ※3
    ※2,3
    ※2
    ※3
    超巨大地震※1
    ×※4
    ※3
    ※3
    ※3
    直下型地震
    ×※4
    台風(高潮)+停電
    ※2
    ※2
    ※3
    ※3
    ※2,3
    ※2
    ※3
    台風(高潮)
    ※3
    ※3
    ※3
    ※3
    台風
    停電
    ※2
    ※2
    ※2
    ※2
      ※1 東海・東南海・南海連動型地震を想定(震度6弱、液状化、津波)
      ※2 内蔵電源、補助電源、発電機等使用
      ※3 浸水前、および非浸水地区
      ※4 災害時優先電話からの発信のみ通話可能。
     

「はっはっは。アルマゲドンにEMPか。SFだな。」と自分でも笑いたいし、笑ってすませたい。
しかし、震災後ではこの世界に何が起きても不思議でない気がする。
あの臨時ニュースの映像の非現実感は、忘れようがない。
もし東日本大震災が深夜に発生していたら、停電した暗闇の中、どれだけの人が冷静に判断し、生き残る道を見つけられただろう。
考えたくない想定だが、小惑星衝突よりもはるかに高い確率で起こるのは間違いない。

"If it can happen, it will happen." 「起こる可能性のあることは、いつか実際に起こる。」

2,大規模災害時における消防団の情報網の構築

小惑星の衝突などはごくわずかな確率だが、わりと事前にスペースガードが発見し警告を発してくれるので、時間的余裕はありそうだ。
だが、くるとなったら覚悟を決めるしかない。
天災に乗じたEMP(電磁パルス)攻撃、あるいは太陽フレア。
ほとんどの電子機器は破壊され、情報を得るすべはなくなり、残るのは人の力のみ。
このような事態に対し、なぜかファラデーケージを持っている醤油屋。大豆を蒸すためのでっかい圧力釜も使えそうだ。
以上は、ただただSFで終わってほしい。

超巨大地震、直下型地震が発生した場合、おそらく固定電話、携帯電話がつながりにくい状態(輻輳)になる。

 →災害時の電話利用方法(電気通信事業者協会)

 →巨大地震に備える:災害時に携帯電話を使う5つのポイント(YOMIURI ONLINE)

このような場合に備え、公的機関、警察、消防などの組織には「災害時優先電話」が設置されている。(携帯の優先電話もあるらしい。)
消防団機庫にも1台(古いアナログ電話)あるので、これを情報発信、受信の中軸として下図のようにハブ型の情報網を構築するのがよさそうだ。
コンセントを抜いても通話できるので、停電時にも使えそうだ。(停電時の固定電話サービス
停電対応の電話も震災後売れているようだ。
すべての団員が持っている携帯電話と通話できるので、現状では最も効率的と思われる。

ただし、短時間で津波が襲ってくるといった地域では構築も何もないという気がする。避難第一だろう

      

機庫に対策支部を置き、指揮者と情報分析担当を配置し、残りの団員を2人以上の班に分割して情報収集、災害対応にあたる。機庫の団員が脳みそとなり、現場の団員が実働部隊となる。
部か、分団でそれぞれ支部を設置し、消防団内、他機関との情報伝達のルートを確立する。
地震で災害時優先電話が使用不能になった、あるいは浸水する恐れがある場合、他の部と合同で対策支部を置く。

 ●災害時優先電話は発信のみ優先される。つまり、災害時“発信”優先電話なのである。
 ●災害時優先電話どうしであれば、平時のように相互にかけたり受けたりできる。

このため、次のような欠点がある。
 ●各団員からの緊急連絡には対応できない。(携帯メールが使えれば対応可能
 ●各団員から、別の現場の団員に連絡が取れない。(携帯メールが使えれば連絡可能
 ●団員に連絡中は、他の災害時優先電話からの連絡があっても話し中で気づかない。(携帯メールが使えれば対応可能

機庫の優先電話から定期的に各団員に連絡を取れば、ある程度上記の欠点は補うことができる。

通話に関しては、安易に通話するのではなく、通話前に必要な情報を5W1Hにまとめ通話時間をなるべく少なくする必要がある。
ナンバーディスプレイサービスが利用できれば、着信履歴からかけ直すこともできるが、別途NTTとの契約が必要。
停電時にナンバーディスプレイサービスが機能するかも不透明。
通信網への負担を軽減する意味からも、不確かな情報をだらだらと災害時優先電話で話すのはよくない。

消防団の上位指揮者は、出先で大規模災害が発生し機庫から離れ、携帯電話がつながらない場合、まず携帯メールでの通信を試みる。
メールが使えない場合は、最寄りの消防団機庫等の災害時優先電話を借りて所属消防団に連絡するか、有事の際は所属消防団の災害時優先電話から定期的に連絡を取って指揮を仰ぐように事前に決めておくことが必要と思われる。
部長以上の指揮者の携帯電話が災害時優先電話に指定されているのが望ましい
そうすれば、下図のように機庫の固定支部ではなく、現場から直接指揮できる。
また、機庫の災害時優先電話は定時連絡に使い、すべての現場の情報、状況を把握し、指揮者の災害時優先電話に随時連絡するといった運用が可能となる。

災害時優先電話→携帯電話の情報網に依存するのもまた危険だ。
災害時優先電話に加え、使用可能であれば、携帯電話のメールやGPS情報を付加したフォトメールも組み合わせて使用すべきだろう。
東日本大震災ではスマートホンのGPS情報を利用したソフトが活躍したが、消防団での普及率を考えると、現状では補助的手段といった位置づけ。

追記:平成25年3月18日、南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)が発表された。
   県別に被害想定も示されているので、携帯電話の基地局が機能している地域では情報量の少ないメールは比較的使えそうだ。
   こういった場合は、災害時優先電話と携帯メールの組み合わせが運用しやすそうだ。

3、今後望まれる消防団の情報ツール

災害時優先電話と各団員の携帯電話での通話が可能なら、現状でも何とかなりそうだ。
しかし、災害時優先電話が使えない場合、携帯電話の基地局が破損あるいは電源切れで通話不能な場合、これに代わるバックアップの通信手段が必要となる。
特定小電力無線機(トランシーバー)が使えるかもしれない。東日本大震災時には非常に有効だったようだ。
機庫にも無線機が2台ある。スペックは不明。使ったことがない。
実は、無線機には詳しくないのであまり書かないことにする。

  ※追記 2015年10月 倉敷市消防団玉島方面隊の各部に2台ずつデジタル無線機が支給された。

東日本大震災をうけ、平成23年11月23日に成立した第3次補正予算では、「消防団安全対策設備費補助金」が約20億円盛り込まれた。

『東日本大震災において、多くの消防団員が津波に巻き込まれるなどして犠牲になったことを踏まえ、消防団員の活動時における安全の確保を目的として、市町村等が実施する安全装備品の整備を支援する。』

 ○補助対象設備
  水災用資機材(ライフジャケット、ボート、浮環、フローティングロープ、トランシーバー、拡声器等)
  夜間活動用資機材(投光器、発電器、ガソリン携行缶等)
 ○補助事業者
  市町村(特別区、市町村の加入する一部事務組合及び広域連合を含む。)
 ○予算額(案)
  1,994,568千円(1/3補助)


補助対象の設備のうち赤文字にしたボートトランシーバーは倉敷市が支給してくれるとありがたい。
ま、厳しい財政状況だろうし、あてにしないでこれまで通り防災装備を個人的に揃えていこうと思う。

  ※追記 2015年10月 倉敷市消防団玉島方面隊の各部に2台ずつデジタル無線機が支給された。

次に使えそうなのが、フェイスブックなどのSNS(social network service)やツイッタ−(twitter)である。
震災の時、電話回線が不通の場合でも、インターネット回線が生きていたというので、バックアップに使えないかと。
携帯電話の基地局が機能していれば、音声通話はダメでも、パケット通信を使う双方向性のある情報通信手段として使える可能性がある。
ツイッターは、パソコンと携帯で最近始めたところだが、プロテクトをかけて所属消防団内部だけで使えばいけるのではないかと・・・・。
こちらも初心者なので、あまり書かないことにする。

4、集めるべき情報と発信すべき情報

あらゆる情報を支部に集約、分析、真偽を確認し、団員で共有すべき情報、消防団上部や他組織に連絡すべき情報、メガホンや消防車のマイクで住民へ伝えるべき情報等を整理して、災害時優先電話、無線機等のなるべく多くの手段で発信する。
これらの内容は、行動指針マニュアルとして事前に印刷しておき、大規模地震発生時団員が携帯できるようにしておくとともに、各団員の携帯電話のメール、あるいはメモとしても保存しておくのがよい。
また、大地震発生時に事前に決まっている事項、地域に特化した避難情報などをまとめた印刷物を住民に配布するという手段も検討する価値はある。
ペーパーメディアは強い。確かな情報を手に握っているという安心感がある。ポストに投函できる。伝達ミスもない。何度も説明しなくて良い。部数が少なくなったら、必要な部分を携帯電話のカメラで撮影してもらえばよい。
地震発生後に津波到達予想時間など最新情報を入力して印刷する方法と事前に印刷しておいて最新情報を書き込む方法、両方準備しておくのが望ましい。

5、まとめ

なにより、事前に情報収集、発信訓練をおこなっておく必要がある。ハードがあってソフトがないのが現状である。
他の機関との情報共有はまったくダメだ。人手も足りない。
消火、救助訓練に加え、救いを求める手と救う手をつなぐ情報、減災につながる正確で迅速な情報の収集、分析、発信訓練が必要と思われる。


津波避難について
---------------最終更新日:2013.3.23

1,液状化の影響と対策

東日本大震災があぶり出した液状化の危険性。 江戸時代初期の埋め立て地が多くある勇崎・柏島地区。
地震による建造物へのダメージを拡大させ、被害対応を遅らせ、津波からの避難の妨げになる可能性がある。
避難する必要のある低い土地はおそらく埋め立て地で、どこがどの程度液状化するのかわからない。
津波避難場所周辺の液状化の範囲と程度を調べ、通行が可能かどうかを情報発信していく事は地震発生後の優先順位の高い仕事だ。

 →勇崎・柏島防災マップ 

 倉敷市の公式防災マップ

 →防災・防犯ラボ「液状化の豆知識」(発生条件2の低い地下水位は、高いの誤りと思われ)

東日本大震災の際、千葉県浦安市では広範囲に液状化が発生し、車の通行、徒歩での移動が困難になった。
深刻な液状化が起こった場所では通常の移動手段は使えず、有明海の干潟で使われる潟スキーのようなものが有効かもしれない。

2,避難路の交通安全の確保

平成23年9月、岡山県をのろのろと縦断した台風12号。玉島では積算雨量が200mmを超え、勇崎・柏島の一部で道路が冠水。
このとき高台の南小学校のグランドに車を退避させる人々が続出した。 避難した人はわずかだったという。
こういった事象は、通常の避難訓練などでは決して想定されない事態で、この時初めて危険性に考えが及んだ。
津波警報が出された場合、やはり同じ状況が起こると予想される。
「避難は徒歩で」が基本だが、やむを得ないかもしれない。

調べてみると、地震、津波等での車両の被害は一般の自動車保険では補償対象外のようだ。
自分の場合、平成16年に高潮で被災した際、車両保険が下りてたいへんたすかった。台風はOKらしい。
震災後地震、津波に対しても補償のある特約を付ける人が殺到したが、保険会社もリスクが大きいため、現在引き受け停止中。
このような要望に対し、 上限50万円くらいの地震、津波対応の自動車保険が各社から発売されている。

玉島南小学校に通じる道路は、細くて急な坂で見通しも悪い。
避難する人と自動車がつめかけると、渋滞や事故が起こりうる。特に夜間は危険を感じる。
ここは、警察に一方通行か時間差通行にすべく、指定された避難場所付近の交通整理をお願いしたい。
だが無理そうなので、避難所付近の事前調査、誘導方法なども視野に、消防団でより良い方法を模索していく必要がある。

市民の財産を守るという点と津波で流された車が火災の原因になる可能性があるという点からも、高台で車を一時的に退避できる場所を倉敷市が指定することも必要かもしれない。

3,予想される津波

2012年3月国の南海トラフの巨大地震モデル検討会が「南海トラフの巨大地震による震度分布・津波高について(第一次報告)」を発表した。
同年8月29日「南海トラフの巨大地震に関する津波高第二次報告、浸水域、被害想定次報告を発表。
3月の第一次報告が震度分布・津波高(50mメッシュ)であったのに対し、第二次報告では10mメッシュのより微細な地形変化を反映したデータを用いた推計結果が示された。

●市町村別ケース別 最大津波高/m(満潮位・地殻変動考慮)
都道府県名
市区町村名
ケース1
ケース2
ケース3
ケース4
ケース5
ケース6
ケース7
ケース8
ケース9
ケース10
ケース11
最大値
中央防災会議(2003)
第一次
報告
岡山県
倉敷市
3.0
3.1
3.2
3.2
3.2
3.0
3.1
3.1
3.1
3.2
3.2
3.2
3.1
第二次
報告
岡山県
倉敷市
3
4
4
3
3
3
4
4
3
3
3
4
←少数第2位を四捨五入し、
小数第1位を切り上げた数字

この値はT.P.(東京湾平均海面)からの高さによって表示(参照 津波断層モデル編 ー津波断層モデルと津波高・浸水域等についてー 13ページ)されており、最大で高さ(海抜)4mの津波が想定されている。

この国のモデルを使い、2013年3月22日岡山県が更に詳細な地形データを加えた津波浸水想定では、倉敷市の最大波高3.2mとなっている。

 関係市 
 最大津波高(m)
 平均津波高(m)
倉敷市
3.2
2.8

倉敷市は2012年中に、浸水予想地域の主要道路に海抜表示板300箇所、避難所案内標識55箇所を設置の予定。
海抜表示板の数値とこの3.2mという数値を見比べて、その場所の潜在的危険性を確認しておこう。
倉敷市沿岸の大潮の平均的な満潮面がT.P.+2.26m、つまり海抜2.26mであるから、3.2mの津波を想定した場合、大潮の満潮面から約1.0m高い津波ということになる。

潮汐と地理的条件によっては、高潮とは比べものにならないほどの海水が堤防を越え流入する可能性がある。
越えた海水は低地にたまり、しばらくは一面海といった状況も想像に難くない。 水門のポンプの排水能力も心許ない。
津波到達時の潮汐の状態次第である。巨大地震が発生したら、まず最寄りの港の潮汐を調べて対応しなければならない。
 →倉敷市沿岸の潮位と津波の高さについてこっちにまとめてます。

●市町村別ケース別 津波到達時間(津波高+1m)(単位:分)

都道府県名
市区町村名
ケース1
ケース2
ケース3
ケース4
ケース5
ケース6
ケース7
ケース8
ケース9
ケース10
ケース11
最短時間
第二次
報告
岡山県
倉敷市
288
480
432
-
213
481
480
478
303
-
-
213

3.2mの津波が想定されているにもかかわらず、1mの津波到達時間しかデータがないのか不明。

4,避難をうながすには

倉敷沿岸では津波到達まで約2時間半あると予想されている。
勇崎・柏島地区では後背部に山があるため、高台への避難は比較的容易だ。
テレビ等で太平洋沿岸の津波の状況を見れば、東日本大震災の津波被害が想起され、わりと自主的な避難行動につながるのではないかと思われる。
高い津波が比較的早く到達する太平洋沿岸部では、「すぐに高台に逃げろ!」でよいのだが、3時間もあるとかえってこれやあれをしてから避難しようという迷いが生じる余地がある。避難は2階でよいのではという考えも生じると思う。
あれこれやってもらっても良いと思うが津波避難マニュアルのような印刷物で、地震が起こる前にしておくこと、起こってから津波が来る2時間半の間に時系列に沿って順番にすることの指針を示しても良いと思う。
1時間は避難準備(正確な情報を得る、固定電話で171災害用伝言ダイアルに伝言を残す、貴重品を2階に移動する、持病の薬等持って避難するものを選ぶ、ブレーカーを落とす、ガスボンベの元栓を閉めるなど)に使って、残りの1時間半はご近所に声をかけ、余裕を持って避難する、とか。
最寄りの避難所への安全なルートとか液状化の程度、避難所の状況などの最新の地域情報の提供は、地元消防団の仕事だと思う。

●避難場所情報
 避難する際、重要な点がいくつかある。

  • 津波を想定しているか?(東海・東南海・南海地震同時発生時 倉敷沿岸部 満潮時約3.2mと想定)
  • 耐震構造か?岡山県の公立小中学校耐震化率68.3%/2010年4月1日現在  全国平均80.3全国で40
  • 避難場所までのルートは安全か?(せまい路地、ブロック塀は危険、液状化の程度)
  • 孤立しないか?(浸水、がけ崩れ、液状化等による交通網の切断)
  • 地盤は安定しているか?(埋め立て地、川あと、池あと、盛土、造成地は危険)
  • ライフラインは生きてるか?(電気、水道、電話、ガス、情報通信)
  • 災害用備蓄はあるのか?(食料、飲料水、毛布、携帯トイレなど)
指定避難場所 電話 所在地 屋内 屋外 海抜 補足
柏島小学校 086-522-3076 玉島柏島2751-1 220人 2830人 1.4m 2階以上が利用可能
玉島南小学校 086-528-0403 玉島柏島6446 230人 2890人 7.0m 津波避難場所
玉島西中学校 086-526-3456 玉島柏島1548 290人 5540人 1.8~3.0m やや立地が低い
柏島幼稚園 086-522-2724 玉島柏島1681-20 50人 380人 8.0m 津波避難場所

その他避難場所
電話 所在地 海抜
補足
玉島西公民館
086-528-2713
玉島柏島7038-6
4.2m
津波避難場所、かわせみネット端末
八幡山公園
玉島西公民館そば
津波一時退避場所

上記の避難場所以外の高台に一時避難する方法もある
ただ、東日本大震災では、指定避難場所以外の自然発生的避難所や個人宅には支援が届きにくかったり、避難した人の安否情報が伝わらなかった。
一時退避の後、避難人数、氏名、年齢、健康状態、必要な物資などを指定避難場所や公的機関に連絡しておく必要がある。それでも支援は遅れると思われる。
独力でサバイバルでき、外部との連絡方法も確保できれば、こちらの方が気が楽だと。

以上のことを総合的に判断して、各家庭で避難先、避難ルートをあらかじめ決めておきましょう。
各家庭の防災マニュアルは、それぞれの携帯にメールかメモの形で保存してはどうかと。

防災専門家、行政側は、「早めに高台に逃げろ!」を推薦すると思うが、忘れ物を取りに帰って被災するのも避けたい。
命に関わるだけに、難しい選択だ。

東日本大震災を受け、倉敷市の『保存版 津波ハザードマップ』も更新されるだろうし、より良いものを作ってほしい。
また、pdf書類として閲覧、ダウンロードできるようにしてほしい。

5,まとめ

自分の命、自分の家族の命、あとで後悔しない選択ができるように、すべての人がそのときがくるまでに準備すべき。


県民防災フォーラムに行ってきた
---------------最終更新日:2012.1.22

1,これは心強い

ニュース等でご存じの方も多いと思うが、あの人と防災未来センター長で関西大学社会安全学部学部長で東日本大震災の教訓を踏まえて地震・津波対策を検討する政府の中央防災会議の専門調査会座長で東日本大震災復興構想会議委員の河田恵昭先生が岡山県地震・津波対策専門委員会の委員長に昨年6月就任した。

その河田先生が午後から100分の基調講演を行い、その後石井正弘岡山県知事などを加えてパネルディスカッションへと進んだ。内容は山陽新聞の紙面に2月中旬掲載される予定という。
まず、この人を引っ張ってきた石井知事に拍手。これは心強い
東日本大震災を受けて見直されている県の防災・減災対策の策定のご意見番として、びしびしやってくれそうだ。

2,ここがポイント

「日頃やっていないことは、災害が起こったときにできない。」
と河田先生は断言した。

津波による死者、行方不明者が1000人を越す釜石市で小中学生2921人が津波を逃れ、その生存率は99.8%だったという。
これは震災後「釜石の奇跡」と呼ばれ話題となった。
しかし生き延びた生徒たちは怒っているという。なぜか。
実は、釜石東中学校は『ぼうさい甲子園』の優秀賞を平成21、22年度と2年連続で受賞し、更に今年度はぼうさい大賞を受賞するほど日頃から防災教育、防災活動に力を入れてきていたのだ。
普通の学校であれば確かに奇跡だが、釜石の子供たちにとっては、日頃の防災訓練を実行しただけだということらしい。
釜石の必然」だったということか。

津波から助かった人へのアンケート結果からも、日頃避難訓練に参加していた人の多くが助かり、そうでなかった人の多くがな亡くなっているということが明らかになってきた。

「ハザードマップが、安全マップになっていた。」
想定を大きく越える津波が発生した結果、ハザードマップの危険地区にいた人の多くが避難して助かり、その外側にいた人は安全だ、ここまでこないと思いこみ避難せず、逆に犠牲者が多かったという。
気象庁の津波警報発令の推移にも課題は多い。
なんと気象庁に津波研究者は一人もいないという。いなきゃダメだろ。

「電話はつながらない。災害用伝言ダイアル171も万能ではない。」
大規模災害が起こると、固定電話、携帯電話の通信量は一気に数十倍に膨らみ、いわゆる輻輳状態になる。
このとき通信会社は回線の破綻を防ぐために通話制限を行い、その結果つながりにくくなる。
そんなときのための災害用伝言ダイアル171は、800万伝言(48時間保存)の伝言容量を持ち大丈夫と思われていたが、その処理能力は1時間あたり60万伝言で、この能力を超えた場合は利用できなくなる。
先の震災では、携帯の伝言板サービスもうまくいかなかった例があるという。

家族の安否確認などは、日頃のスケジュールを把握し、避難先などを事前に決めておくと安心

「避難は徒歩が基本だが、車で避難する場合のルール作りが必要。」
車での避難は渋滞のため思ったほど早くなく、ひとたび事故や乗り捨てが起これば交通が麻痺してしまう。
東日本大震災では700人もの人が、車の中で津波に呑まれ亡くなっている。
一方、高齢者や要援護者にとっては必要な移動手段で、また簡易避難所として携帯の充電、ラジオ、エアコン、寝床を備えた優れものでもある。ガソリンがあればの話だが。
地震・津波による破損は車両保険で補償されない。車を財産と見れば、車での避難は避けられないと思われる
岡山県沿岸のように津波到達まで余裕がある地域では、混乱を避けるべく、事前に乗り合わせ方法などのルールが必要と思われる。

ちなみに南小学校のグランドには、2.5×5.0mの駐車スペースで6〜7.5m幅の移動路を確保した場合、きっちりラインを引いて利用すれば、約160台程度が駐車可能と推定される。南側のグランド?にも2、30台は入りそうだ。
訳あって駐車場の運営と車両の誘導に経験豊かな柏崎分団第2部だが、地震後の短時間でラインを引いてスムーズに誘導するには人手が絶対的に足りない。 そもそも消防団のすべき仕事なのだろうか?
非浸水地域の駐車スペースの調査と地域の車両台数の調査がなどが必要と思われる。

「子供をまきこむ防災」
将を射ん欲すれば、まず馬を射よ。
防災訓練に参加しない、なにかと忙しい30、40代の若手の協力を得るには、子供へのアプローチが重要。
学校での防災教育はもちろん、学校と連携し、たのしいイベント、遊びの要素も取り入れて子供の心をつかめ!

「明治維新の背景には巨大災害があった。どうなる日本。」
1854年の安政地震(東海・東南海・南海三連動型)、1855年の安政江戸地震など天災が相次ぎ、人的、物的、財政的、精神的ダメージが江戸幕府を大きく揺さぶった。
東日本大震災に続き、首都直下型地震、東海・東南海・南海地震の発生が危惧される今。
いろいろと考え、行動しましょう。


防災講演会に行ってきた
 
演題:「防災・減災に向けた地域での取り組みについて」
  講師:河田恵昭先生

---------------最終更新日:2015.11.29

2015年11月29日、倉敷健康福祉プラザで行われた河田先生の講演会はホールの定員289名満席に近い盛況ぶりだった。
日曜日ながら午前中仕事をし、13:00からの講演に急いで駆けつけた醤油屋はICレコーダーを忘れてしまった。
講演は動画、静止画共に撮影禁止で(ルール無用の方もいたが)脳内記憶と手書きのメモが頼り。
河田先生は2011年以来岡山県の防災行政にもずっと携わっていらっしゃるようで、日本全体、岡山県、倉敷市と違った行政レベルでの貴重な防災裏話、また他県との比較についても聞くことができた。

「災害が少ない岡山県民、油断大敵! その日は必ず来る!」瀬戸内の穏やかな気候。 歴史的に見ても災害の少ない岡山県、安全で暮らしやすい都市ランキングで全国一位の岡山市。高梁川、旭川、吉井川の三大河川、その他中小の河川も気象条件によっては氾濫の可能性がある。2014(平成26)年の広島県の土砂災害の一因となったまさ土は、岡山県南部にも存在する。地震に関しても、県北の山崎断層帯くらいしか活断層はないが、未知の活断層による直下型地震があるかもしれない。首都直下地震、南海トラフ巨大地震、いずれも岡山県に壊滅的な被害はないが、多大な経済的影響が及ぶのは間違いない。


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