ケイピンエースの使い方
---------------最終更新日:2021.4.17
ここでは5年以上に渡り、大量のクズとたたかってきた経験から得た実践的ポイントをお伝えします。
50本入りのパッケージが、R市場の最安ショップで送料込み¥1,044(2021年現在)。
1本あたりのコストは、21円ほど。
全長は50mm、黄色や赤色に塗装されていない薬剤含浸部35mm、直径2.3mm。
まず、基本的な使用方法と注意点は、パッケージ表記をよく読み、詳細については製造元である保土谷アグロテックと製品の卸をしている大同商事のサイトも確認すること。
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ここへたどり着いた方に説明は不要だと思いますが、その侵略の早さ、駆除に対するしぶとさは雑草界でもトップクラス。
刈っても刈っても復活し、防草シートさえ伸ばした節根により1シーズンで貫通してしまいます。
恐ろしいことに、重機で地表を削り取っても翌年には復活してくるのを経験しました。
その増殖力、生命力の源である根を絶つ、根絶こそがこの難敵を滅ぼす最も有効な方法です。
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無農薬を志す畑で、クズの根をスコップ1本で掘り出したことがあります。
主根から伸びる何本もの根は数メートル、直径はスコップの柄クラスは普通で、10cmを超えて地中に潜むアナコンダのようなものも。
少ない株数であれば、掘り出すのが最も自然に優しい方法ですが、ニンゲンにはしんどい方法。
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なるべく薬剤は少なくしたい、近隣に田畑や民家があるため薬剤散布は避けたい、また雨による周辺への流出も避けたいといった場合にケイピンエースは有効。
ご近所の目も厳しい昨今、ピンポイントで密かに殺る、暗殺に向いた商品ではないかと。
薬剤散布と併用できる場合は、より効率的に、より短期間で根絶できます。
一般的にクズの蔓を太くなる方へ辿っていけば、地表あるいは浅い地下にこぶのように膨らんだ主根があります。
主根から伸びた蔓は、接地した場所に中継基地のように根(節根)を伸ばし、さらに先へと侵略していきます。
主根か節根かわからないような株にはとりあえずうって、さらに蔓をたどって確認。
草刈り等で蔓を切られ、節根から伸びている蔓もあります。
主根を滅ぼしても、節根から再生する場合もあるので、しっかりと根を張った節根は主根と同時に処理する方が確実です。
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ケイピンエースは季節を選ばずうてます。
パッケージ裏にも「使用時期は通年で良いが、根株の見つけやすい秋〜春が効果的である。」と。
確かに雑草、虫の少ない秋〜春が主根の探索や処理の作業性といった観点からはよいのですが、薬剤が効率的に効くのはクズの成長期となる春〜秋です。
生長期には根から蔓の先端へ、また葉から根へと循環する物質の流れに乗って薬剤が全体に行き渡るのです。
このため成長期には薬剤の効果が数日から一週間で現れ、蔓の先端部が変色、枯れてしおれるのですぐにわかります。
元気に伸びている蔓を見つけてその根源にうつ。一週間後に見つけてうつ。さらに一週間後に・・・・と続ける。
一方、冬場に処理したクズでは、効果が春までわかりません。
根の一部が生き残り、復活する例も。
クズの蔓が伸び始め、下草もさほど茂っていない、そして効果が最短数日で確認できる4、5月頃が最適と思われます。
さらに草刈りと並行して夏、秋と処理を続ければ、根絶をより早期に実現できるでしょう。
葉面散布するザイトロン系微粒剤については、葉が茂っている時期であれば可能です。
朝露が葉に付いている早朝か、100均スプレーで水を葉に噴霧してから散布する。
クズの規模に合わせて、動力散粉機から100均の調味料入れ(塩、コショウなど)で行います。
農薬散布用防塵マスク、ゴーグル、ゴム手袋、100均レインコートなどの防護具が必須。
確実な根絶のためには3回。 成長期の薄緑の葉への散布が効果的。
根に貯蔵した養分を使ってこんにちはと芽を出し伸び始めた春たたく、負けるもんかと再起した夏たたく、更に最後の力を振り絞って立ち上がってきた秋情け無用にたたく。
ケイピンエース処理、ザイトロン散布について共通の注意点。
薬剤をクズの全身に行き渡らせるため、処理、散布したあと一定期間蔓を刈ってはいけない。
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ケイピンエースは、爪楊枝に薬剤を含浸させた特殊な製品で、電動ドリル等(φ2.5〜3.0mm)で下穴をあけて、そこに刺すという処理方法をとります。
薬剤含浸部全体(約35mm)がクズの内部に残るよう、赤い塗装部がやや入るくらいまで刺し込む。
向こう側にまで貫通、露出してしまうと、露や雨水により水溶性の薬剤が周囲に漏出するので注意すること。
細いドリルは折れることがあるので、予備のドリルビットも1本準備しておきたい。
2.5mmだとドリルを何往復か動かして穴の径をやや広げるようにすると差し込みやすくなります。
下穴をあけたときに出る削りくずが白い場合は組織が生きている証拠で、死んだ組織では茶色に。
また、根や蔓の表面を削って白い組織が見える部分は、生きています。
主根の探索と下草刈りに折りたたみ式携帯カマ(ポケットKAMA/送料込み¥2,000弱)は必須。
置き忘れ対策として落下防止ストラップを付けている。
主根部周りなどの掘り起こしに小さいスコップがあると便利。
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1700本以上うちまくった結果、よくきくうちかた、こつがわかってきました。
クズは蔓の伸びる方向に繊維が走っており、その途中にケイピンエースを打ち込むことで、繊維伝いに薬剤が拡がっていきます。
ケイピンエースをうつ方向は、この繊維をより多く貫くするように。 突き抜け注意!
複数のケイピンエースをうつ場合は、ダブらないようにうつ方向、角度を変えるのが有効。
正月にうって、2ヶ月経った節根 うった場所から繊維に沿って変色 |
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下図は、処理の1年後しぶとく半分生き残っていた例。
こいつは周りを掘り起こして根を確認、一番太い根を貫く方向に一本うって滅ぼしました。
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一回の処理でより確実に処理するためには、主根の周りを掘り返し、地下の根の伸び具合も確認するのがベスト。
物質の流れを読み、急所にぶすりと刺す。
何発うつかはお好みで。
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また、小さいクズや節根にうつ場合は、貫通しないようにケイピンエースを半分だけ刺して折りとり、残りを別の株にうつ。
●主根へうった例
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手前から見ると
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裏から見ると
↓ |
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1番銛:最も太い根にうつ。ケイピンエースの長さを考慮し、根の繊維をなるべく多く貫く方向へ。
2〜4番銛:蔓の根元にうつ。(太い根が複数ある場合は全部うつ。)
5番銛以降:根と蔓の伸び方、それぞれの太さから全体の養分の流れを読み、必要に応じてうつ。
元気に蔓を伸ばすクズにケイピンエースをうつと、一週間で蔓の先端が変色してしおれ、葉も枯れ始め、生長が止まります。
次の年には枯れたクズの主根が残るのみ。
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しかし、さすがにクズ。しぶといやつも。
一部の組織が生き残りそこの部分から新芽を出す場合があるのです。
ケイピンエースをうった数が少ない、位置が適切でなかった、節根が生きていたなどの理由が考えられます。
その場合は、2シーズン目に突入。簡単には攻略できない相手です。
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クズ発生の原因の多くは、クズの根を含んだ土砂の搬入と言われています。
確かに、埋め立て地、造成地等々身の回りでも目にすることが多く感じます。
地中に生き残った根から、環境の変化で数年を経て復活する例もあると聞きます。
恐ろしい話ですが、一株ずつ確実に根絶していくことで防ぐことはできます。
新たに種から発芽することもある。
クズはマメ科の植物で、5cmほどのさやの中には3mmほどの小さな豆が並んでいます。
幸運にも発芽率は低いらしいです。 これはたすかる。
確かに、根絶がほぼ終わったかつてのクズ天国(約500m2)でも確認できたのは数株という程度なのですから。
蔓の増殖力が強いため、種から発芽する必要性が低いということか?
つまり、一度根絶してしまえば、新たに土を入れたりしない限りクズに(ほぼ)さよならできるということです。
ただし、翌シーズン以降も確認を怠ってはいけません。相手はあのクズなのですから。
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最後に、同志の方々の健闘を祈ります。
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