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  駆除方法と効果の追跡記録 ---------------最終更新日:2019.5.22

醤油屋がクズ対策でうちまくった「ケイピンエース」。
その製造元である保土谷アグロテック様と製品の卸をしている大同商事様が、騎兵隊のようにヘルプ(無料)に来てくれた。
醤油屋がクズの群生地を提供し、プロは薬剤効果のデータ収集、社員のフィールドワーク等を行うのである。
2017年9月5日の薬剤散布以降、醤油屋は時々現場に行って、画像記録を残すことにした。

ヘルプに対するお礼の意味もあるが、少子高齢化、人口減少を背景に今後も耕作放棄地、管理できない土地が広がり続けることが予想され、日本各地でクズの侵攻と戦う必要に迫られる同志たちへの記録でもある。


使用前

おおよそ幅50m、奥行き10m。 隣接する建物の屋根にまで蔓が伸びている。


使用後

エリア1〜6まで画像記録を撮っているが、ここではエリア2〜4の経時変化を追う。
2017年9月5日朝、薬剤散布。

エリア2
エリア3
エリア4
2017年12月2〜3日 刈り取り

2017年12月3日、ケイピンエース打ち込み。

青い塗料と黒いプラ杭は、処理した主根を見つけやすくするためのマーカー。

2017年12月8日
部長「新人研修も兼ねての作業でしたので、薬剤噴霧にむらがあり、効果が薄い部分があったようです。」
  「根から吸収されるタイプの薬剤も撒いておきます。」

2017年12月17日
醤油屋が、屋根の上に残ったクズを高枝切りバサミと脚立で処理した。

2018年

2018年1月-2月
プロが切った雑木や雑草を醤油屋が焼却処分。
毛細血管のように張り巡らされたクズの蔓(つる)があらわになった。

2月、枯れた草木を熊手で取り除いてみるとよりはっきりと蔓が現れてきた。

4月8日
刈り取られ、残った株からノイバラの新芽がどんどん出ていた。
ノイバラの棘の痛さは忘れられず、プロの仕事に手を出さないと決めた醤油屋ではあるが、たまらずグリホサートを噴霧した。
こいつだけは看過できない。
柔らかい新芽のうちに、鋭くとがった棘を生成する前に、少しでも早くたたいておきたい。
ヤブガラシの新芽、スギナ確認。

4月9日
生き残ったクズがそろそろ新芽を出す時期ということで、プロが経過観察に来る。
近隣(東へ100mほど)のクズは元気に新芽を出して、さらなる拡大を準備しているが、ここでは新芽が出ていない。
薬剤の効果と思われる。
また、薬剤を使用した部分のスギナは黄色がかっており、別の場所で濃い緑色をした元気なものと対照的。
セイタカアワダチソウなどの雑草も育ちつつあるが、元気がなく、新芽の葉はねじれて変形している。

4月21日
醤油屋が行ってみると、数こそ少ないもののやはり残存したクズから新芽が出ているののが確認できた。
節根あたりから、だいたい20〜50cmほどの蔓を伸ばしていた。
また、赤いヤブガラシの新芽も増えてきた。

5月13日
クズが盛んに蔓を伸ばし、新緑の葉を広げ始める時期になったので、現場を観察しに行った。
近隣ではすでにクズの葉が地面を覆い始めているのに対し、現地では明らかに生育に遅れが見られる。
黄変した葉がちらほらあり、50cmに満たず枯れた新芽もあった。

ヤブガラシはたくさん芽を出しているが、葉の輪郭が茶色に変色したり、くしゃっといじけたもの黄色っぽく変色したものが多い。

ススキセイバンモロコシ(2018/6/17訂正)はそれなりに成長し、セイタカアワダチソウは10cmほどで黄色く変色し全く元気がない。

5月20日
提供していただいた「ザイトロン」5kgを近くのクズ天国に全力で散布したあと、経過観察に行った。
ぎゅんぎゅん伸び放題のクズ天国を見たあとなので、はっきりわかる。
この地のクズには元気がない。
生きている蔓からほとんど芽が出ていない部分もある。

5月28日
秋冬を経て、再びクズが加速度的に増殖を始める季節になった。
はずなのだが、昨年の夏のあのボリュームとは比較にならないほどの量で、しかも勢いが感じられない。
葉の黄変が目立ち、薬剤散布のない近隣のクズとは明らかな差異が見られる。

6月3日
昨年夏と現状をほぼ同じアングルで撮影し、比べてみた。

エリア2
エリア3
エリア4

6月10日
5日に中国地方が梅雨入り。植物には恵みの雨。
現地では薬剤の効果がより鮮明になってきた。
伸びてきたセイタカアワダチソウの先端部分が変色し、ふにゃっと曲がってきた。
ノイバラの新芽は全く出ていないか、出ていても明らかな萎縮がある。
ただし、醤油屋散布のグリホサートによる可能性あり。(すみませんです。)
ススキセイバンモロコシ(2018/6/17訂正)に関しては、元気に育っている部分がある。
周辺の農地に配慮して薬剤を散布していないか、薬剤の種類(ザイトロン/ザイトロンフレノック)による違いか。
メインターゲットのクズは、伸び始めたが力尽き始めた感が全面に漂っている。

6月15日
プロが経過観察に来た。 いろいろとご教授いただいた。
まず、訂正。ススキではなく、セイバンモロコシだった。
間近で見ると確かに葉の形、葉のでかたがトウモロコシとのつながりを感じさせる。こいつも強害雑草のひとつ。

セイタカアワダチソウの先端がへにょっとなったのは、プロが立ち寄り「ザイトロンアミン液剤」を噴霧したかららしい。
また、場所によって効果に差異が見られるのは、ザイトロンとザイトロンフレノックの薬剤効果の違い、そして生い茂った雑木やクズの蔓の影響で散布が均一にできなかった作業上の問題とのこと。

醤油屋が誤解していた「ケイピンエース」の作用する仕組みについて
ケイピンエースを打たれた部分から蔓の先端へ薬剤が運ばれることにより、成長を阻害して根を餓死させる、のではなく。
薬剤は根にも直接影響するという。
よく考えれば、クズも根から水分、養分を葉や蔓に送り出し、逆に葉からは光合成で得た糖分を根に運んでいる。
ケイピンエースに含まれる薬剤が、この双方向の流れに乗ってクズ全体に行き渡ることになる。
薬剤の成分が全身に回るためには、薬剤処理(散布、ケイピンエース)したあと、一定期間は刈り取ってはいけない。

ザイトロン、ザイトロンフレノック等のホルモン剤が最も有効に効く時期について質問したところ、日較差(一日の最低気温と最高気温の差)が大きいときとのこと。
葉が出ていないと散布できず、葉が茂りすぎても散布が困難になりがちなので、場所と状況にもよるがこの辺だと5月頃かなと。
薬剤散布は、一回でも十分な効果があることもわかった。
確かにこの地(約5アール 500平米)は昨年9月にザイトロン、ザイトロンフレノックをそれぞれ5kg一袋を一回散布したのみ。
通常の使用量は9kg/10アールなので、結果的に約2倍濃度の散布となっている。
そしてとどめのケイピンエース。
一度刈って、新芽が出たところに散布という方法もできるらしい。
補助的に使ったザイトロンアミン液剤や醤油屋がノイバラにかけてしまったグリホサート剤等の量、影響は限定的と思われる。

この時期、地面の土が見えているということ自体、昨年までの状況を思い出すと画期的な変化だ。
プロの作業と経過観察はほぼ終わり、あとは醤油屋にお任せということになった。
お世話になったプロの方々、ありがとうございました。

広範囲のクズと戦う必要がある場合、薬剤の入手や使用方法のアドバイス等をプロに聞いてみるのもアリだ。


プロの作業は終わり、ここからは醤油屋が最終的にクズどもに引導を渡すことになった。


6月24日
画像記録とセイバンモロコシ等の刈り取り。
クズは慎重に避けて、刈り取らないようにした。


同日、しぶとく緑色の葉を出している蔓をたどって、主根、節根にケイピンエースをびすびす打ち込んだ。
ほぼ1パッケージ(50本)を消費。




「平成30年7月豪雨」等の影響で3ヶ月間ほうち




10月7日
セイバンモロコシをはじめ、種々雑多な雑草が生え、一部に生き残ったクズも確認できた。
駆除の前段階として、クズの蔓をなるべく避けて草刈りをした。

10月14日
元気に伸びているクズの蔓をたどって主根を探索。
草の根をかき分け、ポケット鎌で切り開きつつ進む。
たどり着いた主根の多くはすでにケイピンエースで処理済みのものだったが、一部が生き残り、そこから蔓を伸ばしていた。
大きな主根は、地下深くに養分を蓄え、生命力も強い。
主根周りの土を取り除き、主根の根の張り方を確認する。
ドリルで下穴をあける。
すでに死にかけの根の場合、ドリルには茶色い繊維くずがまとわりついてくる。
ケイピンエースを打つべき元気な根の場合、白い繊維くず(↓)が出るので判別は容易だ。

午後からも作業は続く。
探索、掘り出し、穴あけ、打ち込み、撮影。(パッケージ番号19はダブりで、ほんとは20でした。)

10月21日
ガソリンだだ漏れトラブルを起こしたトラクターTG-550のキャブレターをオーバーホールするのに夕方までかかった。
15:30から1時間ほど活動。
パッケージ21終了。 もう千本以上うちまくったのか。

10月28日
今日も掃討戦。
駐車場に区画ロープを張った後、午前1時間、午後も1時間ほど活動。
ザイトロン散布、ケイピンエース打ち込みはヤブガラシにも効果かあるようで、直径4cmほどの根が枯れていた。
アダハマ戦線北部でケイピンエースを試したときには、今ひとつだったのだが。

11月4日
今日も5時間ほど活動。
枯れて簡単に折れる蔓、ぐじゅっと茶色いしるが出る蔓や根は完全に死んでいる。
生きていそうな部分にドリルで穴をあけ、削りくずや出てくるしるの色で生死を判別する。
ザイトロンの影響なのか、新たに伸ばした蔓の根本付近から細い根が新生している例が多く見られた。
クズも何とかして生き残ろうとあがいているのだろう。
そんなクズにぶすりと情け容赦なく、必要以上のケイピンエースを打ち込む醤油屋。
パッケージ22終了。

1本あたり20円弱のケイピンエースはピンポイントで効果が期待でき、コストパフォーマンスが高い。
ただし、主根の探索、穴あけ、打ち込みには時間と労力がかかる。
生き残ったクズの葉にもう一回ザイトロン散布(手動の散粉機)という方法もありかもしれない。

11月18日
タマネギの植え付け準備をした後、午後から3時間ほど活動。
一株あたりにかかる処理時間を計算したら、約10〜20分だった。
生き残った部分を確実に処理するためには、主根周りを少し掘り起こし、生きている根を確認し、養分の行き交うポイントにケイピンエースのくさびを打ち込む必要がある。
大きな株は複数の根をまるまると太らせ、その内部に生長の糧となる養分をため込んでいる。
それらすべてを殲滅しなければ根絶はできない。
パッケージ23終了。

11月22日
出張帰りにプロが現場視察に来られた。 びしっと敬礼でお迎えする。
「詰めが甘い」とか指摘されないよう精進してきたつもりだが、やはり緊張する。
千本うとうが、プロとアマの間には埋めようのない知識と経験の差があることを醤油屋は知っている。

プロからの情報。 確かに思い当たるふしかある。
クズが発生する原因は、どこからか入れた土にクズの根が混じり、そこから最初の一株が生長。
あとは蔓が伸びて、花が咲いて、実がなって、あたり一面クズ天国ということらしい。
逆に言えば、一度根絶してしまえば、来歴不明の土を入れたりしない限り平和が訪れるということだ。

この地の後処理に関しては何とか及第点はいただけたようで、ご褒美まで頂戴した。
「以後も励むように。」
「へへー。ありごとうごぜぇますだ。」

11月23日
勤労感謝の日。午前中に晩成種のタマネギ200本を植え付け、午後から活動。

奥まで見通せるようになった現場と最近使っている装備。(↓)
折りたたみ式のポケット鎌は落下防止ストラップをつけ、置き忘れ対策は万全。
比較的軽量で十分なパワーとスタミナのあるリチウムイオン10.8vのインパクトドライバーを使用。
付属のフックでベルトに引っ掛けている。
ドリルは六角軸付きの2.5φmm。一回穴を開けただけではきついので、ぐりぐり何往復かしてケイピンエースを刺す。
ドライバーを落とすと、細いドリルが折れることがあるので、バックアップの替え刃も一本準備している。
主根の掘り出しにはスコップが必須。もう少し小さければ、落下防止ストラップを付けたいところ。

昨年プロが行ったザイトロン散布、ケイピンエース打ち込みで死滅したクズを探してみた。
地上部が枯れ、今年の夏新芽を出さなかったものだ。
一夏パスして次の夏復活という例は今まで見たことがないので、死滅判定で良いと思われる。
小さいクズは、わずかに細い蔓の残骸を残して主根の位置もわからないほどに朽ち果てている。

滅びを良しとせず、なんとか生き抜き、新しい蔓を伸ばして再び繁茂しようとするクズ。
「ひっひっひ、みーつっけた。」とケイピンエースをうつ醤油屋。
主根のみならず、節根にまでも情け容赦なくうつ。
地下に潜み、死を装うものも残らず白日の下に晒し、うつ。
人知れず、アダハマ戦線では生き残ったクズをもとめ、命を刈り取るポケット鎌を手にした死神がうろついていた。

今日までに、生き残り、新しい蔓を伸ばしている株が約90確認され、醤油屋にケイピンエースを打ち込まれた。
約500m2を文字通り草の根を分けて探索したが、それでもうち漏らしはあると思われる。

昨年9月にプロがザイトロン、サイトロンフレノック剤を散布。12月に刈り取り、ケイピンエース打ち込みを2日間で行った。
5人以上での作業とはいえ、500m2のクズ天国のすべての株にケイピンエースをうつには時間が足りなかったと思われる。
狭い面積、少ない株数であれば、ケイピンエース1パッケージ(50本/千円弱)のみで、1シーズンでの根絶も可能だろう。

今回、広い面積のクズ天国に対しては、ザイトロン散布が非常に有効なことを見せていただいた。
だが、すべての株を根絶するためには、2シーズン目のケイピンエース打ち込み、ザイトロン散布が必須であることもわかった。
3シーズン目にどうなるか、引き続き観察していきたい。

12月2日
師走に入り日曜日もお仕事で、なかなか根絶に時間を割けない。
通りすがりに撮影のみ行った。
10月にはいってからケイピンエースをうった株の蔓は枯れているように見える。 来年どうなるか。
まだ緑の葉を広げている蔓をたどっていくと、石の陰にうちもらしたクズの主根発見。
薬剤散布の具合か、元々クズが多かったのか、5m四方のクズが生き残った部分がある。
今年のうちに、緑の葉(生存)を出すクズすべてにケイピンエースをうちたい。

2019年

2019年4月7日
2017年9月にプロがザイトロン、ザイトロンフレノック剤を散布してから1年7ヶ月が経過した。
クズが新芽を伸ばし始める季節。(昨年のこの時期は薬剤効果の評価のため、何もしていない。
クズも出さずばうたれまい。 出るクズはうたれるのだ。

元クズ天国では、探さないと見つからないまでにクズの密度が低下している。
生き残ったクズは、なぜか一部の場所に集中していた。
石垣に使っていたと思われる30センチ角ほどの石がいくつも頭を出す盛り土だ。
おそらく、石を盾にしてプロのケイピンエースから逃れたものと推測される。

4月21日
第2アダハマ戦線の草刈りを終えた後、例の盛り土付近で小一時間ほど活動。
2週間前にケイピンエースをうった株では、新芽が茶色にしなびて枯れていた。
新芽を確認した株にうつ。

4月27日
10連休初日。仕事を済ませて午後から草刈り。その後根絶作業。
フェンスの向こう、隣の敷地内のクズ(直径約3cm)があまりに元気そうなので2本ほどうたせてもらった。
そして最後の砦、石混じりの盛り土を集中的に攻めた。
一週間前にうたれたクズは、新芽と葉っぱがしなびて変色し、うなだれていた。

30cm角の石をどけて、土を取り除くとクズのぶっとい蔓が密集して隠れていた。
地下でどこからどこにつながっているのかよくわからないが、とりあえずぜんぶにうっておいた。
盛り土砦を後にし、東へ進む。
敵は少なく、終わりが見えてきた。

5月15日(水)
連休後半は、新たな農地確保のためにハマスゲを掘りまくって終わった。
現地に行ってみると、ざっと15カ所ほどクズの蔓が伸びていた。 ほとんどは1mほど、長くても3m。
今日はマーカーを立てるだけ。
残弾数が少ないので、楽天のみのり(50本入り770円/4パッケージ+送料220円)に注文。

5月16日(木)
九州帰りのプロが立ち寄られた。
補給物資として、タマ500発。(うっ。ダブってしまった)
どんなに暑くてもクズ根絶が遂行できるようにとタオル5枚。
どんなに危険な場所でも草木をかき分けて進み続けられるようにと手袋3双をいただいた。

「あの、ケイピンエースの使用期限というか、どんなもんなんでしょう?」

「ずっと。 水に濡れて薬剤が浸出しないかぎり、ずっと。」

「あと、根絶日記にリンク張っちゃったからよろしくー。」

「え?」

5月19日
午前中に落花生の植え付けをし、午後から根絶へ。
15:30から消防団の訓練があるので、途中ながら撤退。

5月22日(水)
仕事が終わってすぐ出撃。隣のフェンス内のクズの一部がまだ元気そうで目障りなので越境して、うつ。

すでにまばらとなっているクズの葉を見つけては蔓をたどって掘り起こし、ケイピンエースをうつ。