第9号
2006.01.08発行
©ザ・玉島!!
 

 あけましておめでとうございます。2006年最初のたまたま発行です!。  


戸島神社の岩

 戸島神社は、乙島地区の鎮守であり、古来よりそこに鎮座していた。明治26年、当時戸島神社祠職を務めていた香西家が火災にあい、重要な古文書が消失してしまったため、創立がいつ頃なのかは不詳のままである。
 戸島は乙島の古名であり、『備中誌』の戸島『名勝考』に
  浅口郡乙島成ルベシ 此トコロモ近キ頃ハ陸ヲ離レタリシ處ナリ
  臨海家有晨起シンキ望戸島人   天のはら 明けて戸島を見渡せば渚さ静かに波を寄せくる
  
  この歌は、永承元年(1046)11月15日 藤原家経ふじわらのいえつねが神崎神社付近に泊まり、朝起きて南方に見ゆる戸島を眺めて読んだ歌である。
  大嘗会ダイジョウエ和歌集に記されている。
  
  この神社の境内、にいつからか一つの岩がある。
  江戸時代中期頃、境内拡張を計画し、石工がこの大岩にくさび穴を掘っていたところ、数個目のくさび穴より赤いものがにじみ出て、次第に血が増えていった。その末、ノミが使えなくなり、恐れて作業を中止してしまった。
  そのまま、この岩は動かされることなく同じ場所におかれていたが、その後、ご祭礼のたびに、境内が狭くて困るので、大岩を取り除きたいとの声が高まり、他の石工に相談したところ、「石から血が出るものか。私がやりましょう」と請け負った。早速くさび穴をあけ、作業を始めると、すぐにノミの先に血がつきはじめた。石工は驚いて、お詫びに祠を建ててお祀りした。
  享保5年に鳥居を奉納して岩殿神社として祀ったのである。
  現在でも、大岩の祠の東に数個と、西に数個のくさび穴が存在している。       

 
岩殿神社大嘗会和歌集歌碑
参考文献:『戸島神社誌』/発行 戸島神社


たまたまバックナンバーに戻る   TOPに戻る

Copyright© 2005 presented by."Mizu"