董巨に従って筆墨の源頭を発出すに戻る
国華 518号
黄公望の江山勝覧図巻に就て 瀧 精一著
**********************最近読んだ****
疑問と考える方向
図巻の中にある注意を惹く数本の長い線の意味するものは
線による造形から山水の江山風景を創造する
黄公望 董其昌 程正揆への「倣」の継承
黄公望の変筆
董其昌の変筆
瀧先生の解説と西上先生の模本説
江山勝覧図巻と九峯雪霽図
様々な関連する断片
”制作過程の娯を得ることにある
創造の過程からくるのであって、完成された作品からくるものではなかった。”
断片
”「黄子久(公望)画石如雲 を以って之を取り溺愛すること甚し」”
”中国山水画史を支えたものは実に素朴極まりない溌墨画家の眼、連想のイマジネーションであった”
「画に寄楽するは、黄公望始めてこの門庭を開きしのみ」
「大家の傑作には、必ず特異な皴法があるはずだ」
******************国華 518 江山勝覧図巻*瀧 精一****
”或いは称して「逸格之祖」とも云う
先ず淡墨を用いて積んで観るべき処に至り、然る後に焦墨、濃墨を用いて畦径遠近を
分出しなければならぬ。そうすれば生紙の上に画いて、幾多滋潤の趣を得ることが出来る。
是れ真に大なる驚異であって、此一品を以って我等は始めて大癡画の本色を闡明する事が出来るのである。
披覧するに、その図様始は蹊径迂曲の景を写して、、、、中頃転じて
洋々たる大江を山上より俯瞰するを画き、更に険峻を越えて益々深く山奥に
入るの趣あり、、、、山中の湖水に船を浮ぶるを見、、、、奇趣横溢、真に
奇想天外より落つるの感あるもので、意匠絶妙、尋常画人の到底企及し得る所と
思はれない。、、、、常に視点を変化して各面を描写せんと試みつつある事である。
、、、、、略、、是れ寧ろ無謀の挙とさえ思惟せらるるものをも敢てせんとするが
如きも、這般視点を異にするものを一図に写すは、是れ実に大癡のみではなく、
支那の山水画に於て古来一つの伝統の如くなっていると考えることも出来る。
、、、、略、、、是は客観的でない、寧ろ主観的又は空想的方法である。
而して我等は大癡の此巻において這種の空想的描写を縦横に実施して、
絶妙の致を得たるに驚くのである。
我等はこの巻の図法おいて恰も一種の神秘とも云うべきものを感ずるのであって、
その神秘的な魅力が、観者をして真に山中の境地に引き入れらるるの心持を生ぜし
むるのである。古来シナの山水画に名作少なからずと雖も、この点において
この画と匹敵すべきはそう沢山はなかろう。”
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「程正揆の絵画観について」より国華518を見る機会を得た。
これは黄公望の骨法による作図であるとの直感を強く持つものである
横巻の画面上から下までの長い線を処理する方法は廉堂に近いものがある。
巻末の変筆こそ形を想像して入れた線でないものから山水の景を仕上げる過程の
痕跡がよく残っている。
西上先生は次ぎのように云われる。「程正揆の絵画観について」
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”現存する黄公望の最高傑作とされる富春山居図巻(台北故宮博物院蔵)と比較してみると、
堅苦しい輪郭線と、繁雑で単調に繰返される皴やモチーフは、模本の特徴を示しており、
特に巻尾の拳のようなグロテスクな形姿の峯は、黄公望の活躍時を相当下る時代性を示しているように思う。”
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この図巻の長い線と薄くて見えにくいが最初の段階で入れたと思われる線を見ることが
出来る。後半には西上先生の言われるように、形象を形作ろうとする意図のない
線が、又は自由な線が、、、ある。拳のような部分は解しようのない処です。
明らかに長いランダムな線が最初でありそれを収拾するために、補助の線を入れ
ヒマシュンで立体表現をし家と木を配置して、山水を創る。ブロックの積み上げ方法
や山の繋がりと遠近位置関係を考慮しながら、、、、これが摸本であっても
原本がそうであるはずだと想像される。印刷物のコピーだから微妙なところが
分からないが、線の太さが均一に過ぎるところがあるのなら、模本であるかもしれない
原本であれば、線の強弱擦れ太い細いが現れるはずだと思う。「堅苦しい輪郭線」
これこそが黄公望の最初に入れた骨法による線を、忠実に再現しようと形を写し取った
均一な線であろう。多分模本として、このような訳の分からない線がある原本
を黄公望が画いていたということを知ることが出来る。
今まで黄公望の変筆を見たことがないから、山水画の手本のようにいはれる
富春山居図、、、、略
董其昌が変筆だと言う前に子久こそ変筆であると云いたい。
(これが本物であるとして)
これを本物と解して瀧先生の言われる驚きを思うと、これは董其昌の変筆と同一
の状況にあると考えられる。
董其昌歿後の声価 LINK
もう一つ
黄子久の九峯雪霽図の驚異的な山水は何と解していいのでしょうか。
富春山居図の平遠安定図に比べて視点が大きく移動したような、、、
中心部は垂直下方向に山を見下ろしたように画かれている。
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