董巨に従って筆墨の源頭を発出すに戻る

野戦の師

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画禅室随筆    福本雅一 他訳 日貿出版
P100 no77
「****余れ雅より米の画を学ばず、率易に流入するを恐るればなり。ここに一たび戯れに之に倣うも、猶敢えて董巨の意を失わざるがごとし。善く下恵を学ぶも、頗る当る能わざるなり。

私は常に米フツの画を学ばなかったが、軽率な筆使いに流れ入るのを恐れたからである。
ここに一たび戯れに米フツに倣ってみたが、それでもなお、董源・巨然の筆意を失わなかった。よく柳下恵(の臨機応変の処置)を学んだけれども、なかなか米フツに匹敵できないようである。」
P127
「もうせん招隠図は郭忠恕の筆である。私はこれを長安の周生から手に入れた。
今年また蘇州で郭煕の臨本を見たが、なんと雪景を変えて彩色の山水としていた。郭煕の筆力はすでに自ら少し劣っている。まして私のような野戦の師では、どうして趙の幟を奪うように、立派に臨模*できるといえようか」

幟    のぼり《意味》{名}のぼり。目じるしのためにたてる旗(辞典より) 
野戦の師 野戦とは常法によらない戦い。師は軍(本文より)
     ここでは画法が水準より劣ることの喩え
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董其昌は画禅室随筆にいう「私のような野戦の師では、どうして、、、立派に臨模*できるといえようか」
辞書を引くと(字通)「野戦」
陣を整えずに戦う、斬りこみとあり、 (清・*変の画に題す、竹)
「石トウの竹を画くや野戦を好む、、、ほぼ紀律なし、然れども紀律自ら其の中にあり」

陣を整えず常法によらない戦い、山水図の構図を自分で把握出来ないまま、いくさを始める。相手の軍団の配置と武器の状態を知らないまま、とりあえず「皴法以って之を発する」彼独自の方法で斬りこみを始める。王維のところで記したように”古人は方に遇って圭をつくり、円によって璧を成す”(材料に応じて作るものを変える)うまさを発揮しているのだ。、、、、、ゆえに煩悩が解けたのだと言うように、「皴法を用いる境地」、「ばんはくの致」によって(これが宗旨だ)画紙の上に任意の線を入れ、この入れる方法に独創があり、、、それによって、あっちこっちの線(形象)と戦う。

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20040816
画禅室随筆
以前より気に懸っていた幾つかの言葉があり、今また少し勉強しました。
【懸解】
ケンカイ =県解。
vさかさにつりさげられているものが解きはなされる。
w非常に苦しい状態から救われること。
「筆を下せば便ち凹凸の形あり」この意味ですが、以前より何気なく読んで眺めていました。その後の「最も県解なり」「最も留意するべき言葉である」というのを深く考えず
何をもって「歴代の画家より高くぬきんでると悟った」のか????分からないまま
気にせずにいました。これについて方聞先生は「これは最も説明が難しい」という訳を
付けておられます。LINK。そして「1部分から描きはじめるのでない」「心中に何のわだかまりもないような巧みさがない」という部分を合わせて考えてみると、自由自在に
山水の構図を作り得ない。四苦八苦して構図を接ぎ合わせている。模本から模写を
繰り返し、本物の生気が失われている。、、、、、このような状況を踏まえての
言葉であって、古人は筆を下せば山谷がたちどころに出来、何のわだかまりもなく
山水を作り上げる、という方法があることを読者に教えているのだ。その後につづく
「筆をよく分けよく合わせ」分と合の大まかな線を入れ、後は皴を発するのだ。
この方法をよく勉強すれば、非常に苦しい状態から救われることができる。
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そして自ら野戦の師であるといい、臨機応変の処置を学んだと云う。
「程正揆の絵画観について」というNET上の文書があり****
西上実氏は董其昌の弟子であった程正揆についての論述を書いておられます。
”独創性は方法に精通することによって生ずる主張する彼らは「、、一たびその方法が画家によって修得・消化されると、画家自身の変化に従って自由にその方法から出入りすることが出来、彼が模範とするものから完全に自由となることができる。」(注)という部分が董其昌の「倣」と評される創造的模倣に至る過程を踏襲するものであろうと言われます。”
董其昌の教授の様子を、、自ら語る資料があり(**)
、、、、訳文が作れませんが、筆墨三昧の処、荊関董巨皆此れより出る、
という処を教えてもらったものだと思います。
程正揆も董其昌と同じく書画を集めまわった。王蒙の****も所持していた。
黄子久の江山勝覧図も見た。
董其昌がいう 「大家の傑作には、必ず特異な皴法があるはずだ」
という制作課程の痕跡が残っている本物を集めるのは重要なことであっただろう。
廉堂先生も麓台の本物をみて古人の法を感得され、董其昌も元の4大家の溌墨画
を捜しまわった。完全な作品より未完の方が製作過程が解り易い。
「中幅の起処と妥からならざるを」、、一番重要な起処と妥からならざる処、
これを改正し平坦な塗りと滑らかな諧調に仕上げると、全く原本の生動は失われてしまう。

小川先生は中唐の、、中唐の溌墨画家以来400年南宋初期の李氏に至るまで画系の違いを越えて中国山水画史を支えたものは実に素朴極まりない溌墨画家の眼連想のイマジネーションであった、、、、といい
この方法が中国山水画史の深いところを流れ続けている。

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画禅室随筆    福本雅一 他訳 日貿出版
P17
”古人の画は1部分から描きはじめるのではない。現今はすなわちこの意を失っている。
故に心中に何のわだかまりもないような巧みさがない。
ただ筆をよく分けよく合わせそして皴法を用いてこれをなしうる。
これは筆をおえる時のことである。”
P13
”古人画を論じて云える有り、筆を下せば便ち凹凸の形あり、これ最も県解なり。

昔の人は画について論じて筆を下ろすと凹凸の形ができるといっている。これが最も
留意するべき言葉である。私はこれをもって歴代の画家より高くぬきんでると悟った。
これに到達することはできなくとも、これにならうことをねがうところである。
その百分の一でも得られれば、年老いて山岳のなかに遊ぶのに十分である。”

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本文注
県解 苦しみがなくなること。留意すること。
辞書
【懸解】
ケンカイ =県解。vさかさにつりさげられているものが解きはなされる。〔マ荘子〕w非常に苦しい状態から救われること。
************************辞書*漢字源*****
【懸】
《意味》
c{動}かける (カク) 。かかる。物をひっかける。また、物がぶらさがる。「懸垂」「抉吾眼縣 (=懸) 呉東門之上=ワガ眼ヲ抉リテ、呉ノ東門ノ上ニ懸ケヨ」〔マ史記〕
dケンス{動,形}物事が宙づりになったまま決着しないさま。〈対語〉マ決,マ定。「懸而不決=懸シテ決セズ」
《解字》
会意兼形声。県は、首という字の逆形で、首を切って宙づりにぶらさげたさま。縣ケンは「県+糸 (ひも) 」の会意文字で、ぶらさげる意を含み、中央政府にぶらさがるひもつきの地方区のこと。懸は「心+音符縣」で、心が宙づりになって決まらず気がかりなこと。また縣 (宙づり) の原義をあらわすことも多い。

【凹凸】
オウトツ 中央がくぼんでいるものと、中央が高くなっているもの。でこぼこ。〈類義語〉凸凹トツオウ

******************************************kannjigenn**********
【野戦】
ヤセン v野原や平地で行われる戦闘。w普通の戦法によらない戦い方

【師】
《意味》
c{名}いくさ。集団をなした軍隊。▽周代には二千五百人を一師といった。〈類義語〉マ旅。「師旅 (軍隊) 」「師団」「行師=師ヲ行ル」
d{名}おおぜいの人々。「京師ケイシ (人々の集まる都) 」
e{名}先生。学問を多くの人に教える人。また、宗教上の指導者。〈対語〉マ弟テイ (でし) 。「先師 (なくなった先生) 」「牧師」「可以為師矣=モッテ師ト為ルベシ」〔マ論語〕
fシトス{動}先生とする。手本として学ぶ。「師事」「莫若師文王=文王ヲ師トスルニ若クハナシ」h{名}芸に通じた親方。〈対語〉マ徒 (でし) 。「画師」「薬師」
i{名}周易の六十四卦カの一つ。坎下坤上カンカコンショウの形で、多くの人を統率する意を示す。
《解字》
会意。左側は、隊や堆タイと同系のことばをあらわし、集団を示す。右側は、ぐるぐる回ること。あまねしの意を含む。師はこの二つを合わせた字で、あまねく、人々を集めた大集団のこと。転じて、人々を集めて教える人。▽帥スイは、別字。

【師法】
シホウ v手本。w手本とする。x先生から伝授された教えや正しい道。「人無師法、則偏険而不正=人、師法無ケレバ、スナハチ偏険ニシテ正シカラズ」〔マ荀子〕y軍を出す法。

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字通
師 シ いくさ せんせい
1 軍社の祭肉を切る刀 その刀を扱う人 師官 軍官
2 将軍 軍隊 軍団
3 いくさ 戦争
4 師長 先生
5 師衆 多くの人 大衆 もろもろ
6 ならう のっとる したがう


師心  心を師とする 成法に拘束されない

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董其昌1
董其昌2
魔法の国
素朴な疑問
董其昌歿後の声価
董其昌の書画3
画禅室随筆1
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