岩波新書 水墨画 矢代幸雄著
荊浩の筆法記についての部分
P177−179
「凡筆有四勢、謂筋肉骨気、筆絶不断、謂之筋、起伏成実、謂之肉、生死剛正、謂之骨、跡画不敗、謂之気
故知、墨大質者失其体色、微者敗正気、筋死者無肉、跡断者無筋、*媚者無骨。」
筋は筆絶えてしかも断たず***されば筆は絶えても、
旋律の押し進んでいく勢いは断たない***
筋とはこの種の筋金のごとき弾力性のこもった筆線をもって画面を引き締めるの
謂いであって、されば筋なければ跡断ち画面はばらばらに締まりがなくなる。、
骨は生死剛正、画面に強い筆を打ち込んでこれを剛く正しく保つ骨組みを
建設するがごとき筆法をいう。****画がしっかりするかしないか、
生死が分かるほど骨の役割は重要である。骨がなければ画は徒にこう媚となり
見る眼に媚びて美しくとも、拠り所がない。気は跡画不敗、筆をもって画した跡が凛然とよく
効いているという意味、意気がこもり、ぴんと張り切った線をいうのである。
この書に於いて先生は水墨山水画の起源を、荊浩の筆法記にそって解説され
筆によって作られる墨の濃淡、滲みの形象と、筋骨(旋律の押し進んでいく勢いは断たない
と表現される)の効いた筆線が必要と説明される。
この書は最近読んだもので、我々の学んでいる骨法用筆が大切であることが
分かります。最後に石鼓岩子(仙人)が「筆墨を忘れて而して真景有るべし。」
と言い残し姿を消した。