董其昌の書画
二玄社 古原宏伸編
- 董其昌における王維の概念 古原宏伸著
- 董其昌の画 山岡泰造、古原宏伸訳 ジェイムス・ケーヒル著
- 董其昌と正統派の絵画理論 藤原有仁訳 方聞著
董其昌は中国絵画史における重要な人物であることを、この書は教えてくれる。
琴詩書画巣HPの「胸中の丘壑」にあるように山水画の構築史において
黄公望と董其昌は重大な発展と変革をもたらした。山水画の地軸を傾け山を揺さ振り
地殻変動のようにグランドスタイルの山水画を解体してしまった。
これは故意に解体したのではなく南宗画、文人画の正脈を辿り彼の信仰する
王維、董北苑、黄公望の画を学び其の中から山水を組み立てる材料と道具を
手に入れた。これを組み立て直すのは常人では出来ない。
様式*急進的な新しいスタイル*を創り上げていく過程を先生方は分析されています。
山水画を学ぶに当たって表現技法のテクニックを学ぶ必要もありますが
胸中の丘壑を創ろうと思う者にとって、中国の偉大な先人達が何を考えどんな方法で
イメージを引き出したか又は創り上げたかという事は、もし知り得るならば
勉強する必要があります。
董其昌における王維の概念 古原宏伸著
P23
「ラジカルな新しい様式が何に基ずいて成立したのか。抽象的な構築力は董其昌の生得
の才能と思われる。郭忠恕本王維の白描画の美学への思いに導かれ抽象的構成主義的
造型表現を可能にさせたのは唐宋画中の刻画であると考える。」
P24
「王維詩意図にも通常の山水画の情緒性をきびしく否定する画面感情が働いて一種の
フィルターをかけたような独特な冷えきったラジカルな新しい詩情がゆき渡っている。
このフィルターのような画面感情こそかって王維の名で呼んだ茫漠たる美学ではなか
ったか。」
下
「白描への関心は30年を経過して後激しい動勢と複雑な構成とを伴って自己の重要な様式
の1つとして見事に結晶した。」
END
「かって米フツの一笑に付した伝王維画の悪しき描法の中に若き日の董其昌が見出した
終末的な美意識と情熱を傾けて追求した王維の概念が休みなく働いていたことに**」
董其昌の画 様式の創造から集大成まで ジェイムズ・ケーヒル著
P39
”彼は複雑な塊量を構成する黄公望の手法の根底にある諸原則を図式のように示している
。自然の秩序に代わって別にとるべき秩序を示すかたわら、自然の外見に芥子粒ほども
固執せずにすむような
抽象的な様式の創造を果たしているのである。”
この部分が南画入門の方法と近いところ
抽象的な様式の創造によって画面に比例調和の部分を作る。
幾何学的又は数列的なバランスに動きを加味した構成、それに遠近法の関係
を加える。この混沌とした状態のなかに新たな山水画が再度構築出来るかもしれない。
P42
”様式探求の道程で視覚的、心理的に有効と彼が考え、発見した確実な諸形式の工夫
を吟味した上で利用している****。
どんな芸術でも完全に自然発生のものはないし、完全に計算されて出来るものではない。
新しく効果的なフォルムは偶然発見されるというのが、様式の革新における正常
なあり方なのである。”
/*この偶然に発見されるフォルムを組み立てる方法が我々にとっての
1番のテーマです*/
董其昌はどのようにして彼の特有のフォルムと動勢を得たのか。
偶然を導き出す方法は。偶然に入れた線を発展させる心の動きと収拾する方法。
視点の浮遊と増殖展開の方法と遠近の把握、立体視と破壊したものへの調和。
彼にとって他人のフォルムとモチーフは偶然の形象であり、これに手を入れ
改造し新たなイメージを想像する。黄公望より引き継がれた構築法を道具に
北苑の表現方法と王維、郭忠恕の部品、元人のフォルムを解体して組み換えた。
又、雲を山の如く看るイメージを導入し奇怪なる塊を持ち込んだ。
我々の廉堂先生の南画入門の源流はここにあり董其昌の得たものよりの、
一支流を形成すると思われる。
解体されたフォルムはそれを利用する者によって荊浩のモチーフ
にも成り得るし又、郭煕の雲の線にもなり得る。これを行着ければ王麓台
の雨窓漫筆、南画入門に行く。
創造を生む源泉とは @@@@@@@@@@
すべて芸術家は創作のイメージをどこからか持って来なければ成りません。
湧き上がってくるイメージを作り出す土壌を耕さねばなりません
****
王維は?これは不明であるが刻画のような白描であれば線の組み合わせのみで
表現されるものであろうと思う。山の内側に平行した皺を作るのは山の
立体と遠近の両方の効果があり原始的ではあるが強固なものである。
山の内に山を描き尾根山脈が連なって遠方へ行く、第一原理的な基礎表現の方法
である。この山塊を創る線表現の脈絡法、皴擦法こそ中国山水画の根底を
なすものである。/*これが密かに遠近透視法をも兼ね備え、又比例調和へと導く
方法を内部に持っている。*/
董其昌と正統派の絵画理論 藤原有仁訳 方聞著
P77
”山水画には二つの基本的な筆法がある。*******
個々の筆画は物体の外形の輪郭を描き、また内部の構造の表現にも及ぶが、
これを「皴」と称する。*******
趙孟ふは董巨の「麻皮皴」を採り入れ、乾いた太い縄状の筆法を用いた。
この「麻皮皴」のうちに、山水の外貌を描き出す秘訣を見出したのである。
趙孟フのこの筆法は夏珪の水墨画と完全に背反するものである。”
董其昌の書画 2
荊浩のモチーフ
魔法の国
素朴な疑問
線に内在する力
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