2月10日午後2時から
福山市の景勝地、鞆の浦の沼名前神社(ぬなくまじんじゃ)で恒例の年頭行事「御弓神事」が行われました。
境内社の「八幡神社の」祭儀です。年頭にあたり一年の悪鬼を射払って平安無事を祈る行事です。
行事は「大弓主」「小弓主」と呼ぶ射手2名とそれぞれに「小姓」と「矢取」が各1名
が従い、計6名で役所を演じます。
行事の進行が、わらべ歌風の掛け声で進み、格式ある荘重な御弓神事の作法のなかにも和やかな雰囲気を醸成します。
この「御弓神事」の前日や後にも古式床しい一連の行事があるということで、
沼名前神社は、旧社格が国幣小社でもあり、関係者の皆さんが伝統を守る意気込みを感じます。

沼名前神社の公式サイトはこちらです。御由緒、御弓神事の詳細が分かります。



直径6尺(180cm)の的
裏側には甲、乙、ムの組文字。
勝ち負けなしの意味ということです。



左手前が祭儀の行われる八幡神社。その前が矢場になっています、矢場は南北に15間(27m)、東西に5間(9m)、手前が舞台。



午後2時から八幡神社の神前での祭儀を終え、
矢場の舞台に向う関係者。
神具皇后と武内宿禰が抱く応神天皇の神像のある
2張の「飾弓」が見えます。

祭儀後、神職の方が四方と天に向けて矢を放ち、矢場を清めます。

特設舞台には2張の飾弓が安置してあります。二人の射手は「大弓主」、「小弓主」と呼ばれます。
烏帽子に素襖、長袴の礼装に威儀を正して互礼を交わし、「ねーろた、ねーろた」の掛け声に
片肌抜いて交互に矢を2本ずつ28m距離の的に向けて弓射します。
衣装を整えて着座して、後2回行い合計12本の矢を射ます。的に当たった拍手がたびたび起こり歓声が上がります。
両弓主は落ち着いた態度で、凛とした風格も感じさせ大勢の観衆が見守るなか、見事に大役を果たしました。


弓射が1回終る毎に、的の下、両脇に控えていた
「矢取」役の2歳ぐらいの幼児2人が、的から外した
矢をお父さんが付き添って舞台まで持ち運びます。
可憐な動作に観衆から拍手、声援がかかります。
腰には瓢箪や大きな鈴などを付けています。

「矢取」が持ち運んだ矢は舞台にいる「小姓」役の少年2人が拝受します。
格式ある弓射神事に小児、幼児の役柄に伝統の趣を感じました。