32 そぼQ そぼくな質問 同じ曲を弾いても、弾き方が私となんとなく違うのです。 2005年11月15日 2005年版へ戻る
そぼQ コラム 微笑ましい光景
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≪そぼQ そぼくな質問≫
質問者:マノン さん
高校1年になり、ソナタにはいりました。
毎日45分くらい練習していますが、他の先生に習っている友人のように弾けません。
その友人はそんなに上手くはないのに、同じ曲を弾いても弾き方が私となんとなく違うのです。
友人に演奏を聞いてもらったら、「先生に教えてもらったとおりに弾いているから、どこをアドバイスすればいいのかわからない。」と言います。
自分の先生に聞いたら「音もリズムもきっちり弾けているから、今のままで上手だ」と言われました。
でも友人の演奏は、良いんです。納得できません。
私と何がどう違うのか、どのような練習をしたらいいのかを教えて下さい。


回答者:そぼQさん
このような繊細な弾き方の違いがわかる マノンさんの耳は、素晴らしいと思います。
マノンさんと友人との演奏の違いは、おそらく(聞いておらんのでハッキリとは言えませんが)全体の曲の捉え方でしょうな。

●4分音符1つ弾くにしても、充分に奥深いテヌートなのか、はたまた少し短めのマルカートなのか…。
●フォルテやピアノの表示があれば、単に強いか弱いかで処理してはいないか…。
●楽譜を縦割りではの〜て、フレーズで捉えているか…。
機械的に弾く(音符・リズムを楽譜どおりに正確に弾く)だけでは、音楽の味は出てこないもんです
楽譜に書かれていない部分の解釈、すなわち “塩・コショウ” の味付けができておらんのじゃと 思います。
牛肉を食べるには牛肉の、鶏肉を食べるには鶏肉の、その素材をいかした味付けが一番美味しいんですぞ。

しかし 練習生のあなたにとっては、これらの料理法を理解しろと言われても 困ってしまいますわな。
教えてもらわんと、自分だけの力では なかなか克服できん問題です。
これは、その部分を指導してくれない あなたの先生に 大きな問題があるのではないでしょうか。

良い(とされている)音楽会に足を運んだり、たくさんのCDを聞きまくることで、耳はどんどん肥えてきます。
次に、どのようにしたら そのような音が出るのかを 研究することですな。
それらのテクニックを教えてくれる 指導者を捜す事も、一つの手ですぞ。
どんなに優秀な選手を抱えておる野球チームでも、指揮官(指導者)が悪ければ、勝てる試合も勝てないもんです。




≪そぼQ コラム≫    「微笑ましい光景」

先日の出来事。
ある病院の待合所で、イスに腰掛けて ボケ〜としながら あたりを眺めておった。
品の良さそうなご老人(婦人)が、備えてある大きな水槽(熱帯魚の飼育)の側で 中をのぞいておられた。
そこに いがぐり頭の車椅子の少年が近づいて、同じく水槽の中を のぞきだした。
それに気付いたご老人が 少年に、

【ご老人】 きれいねぇ〜。
【少 年】 はい、とってもきれいですね〜。
【ご老人】 これは何かしら。 “イソギンチャク”でしょうか?
【少 年】 はい、そうだと思います。
        …中略…
【ご老人】 入院してらっしゃるのね、おいくつ?
【少 年】 4年生です。
【ご老人】 あなた、すごくきれいな言葉を使うのね。きっと、お母さんの躾が良いんでしょうね。
【少 年】 (ニコッと笑う)
【ご老人】 いつまでも見ていたいけど、私はそろそろ失礼します。お大事にね。
【少 年】 ありがとうございます。
少年は しばらく一人で眺めていたが、車椅子を操作して 病室のほうへ帰っていった。

なんともはや〜、ほほえましい。
こねぇに丁寧な言葉を使える子供に お目にかかったのは、久しぶりのこと。
ご老人も、わざとらしくない 優しい言い方をされとったが…。

今時の子供でも、しようと思えばできるんじゃなぁ。
乱れに乱れた昨今の言葉遣いには 辟易しておったが、この光景こそが今『日本に求められておる理想の姿』じゃと 実感した。
ち〜と、外套(がいとう)かな? いや、オーバーかな?
何時間も待たされてイライラしておった病院で、清清しい気持ちになったのは初めてのことじゃった。
日本人も、まだまだ捨てたモンじゃねぇなぁ。