介護報酬の実際とその手法
2003.4

今回の改正の主要ポイント

1. 居宅介護支援サービス(ケアマネジメント)の引き上げと一本化
2. 訪問介護区分を身体介護と家事援助の2区分にみなおし、複合型を廃止。
3. 通所サービスの6〜8時間以上の評価
4. 居宅療養管理指導の見直し
5. 緊急時訪問看護の引き下げ
6. グループホームの夜勤加算の新設 

(毒舌解説)



平成15年度介護報酬

1.自立支援の観点に立った居宅介護支援(ケアマネジメント)の確立

@.利用者の要介護度による評価の廃止

居宅介護支援(ケアマネジメント)の業務の実態等を踏まえ、利用者の要介護度に応じた評価を廃止し、居宅介護支援の評価を充実。(要するにケアプランを立てるケアマネさんの報酬に介護度による違いをなくしたということ)

要支援  : 650単位/月
要介護1・2  : 720単位/月 →  850単位/月
要介護3・4・5 : 840単位/月 

A.質の高い居宅介護支援の評価

居宅介護支援の質の向上を図る観点から、居宅介護支援の体制や居宅サービス計画(ケアプラン)に応じた評価の見直しを行う。

@ 4種類以上の居宅サービスを定めた居宅サービス計画(ケアプランを作成する場合の加算を導入。
100単位/月 を新設

(要するに必要のないプランでもたくさんのサービスを入れたら報酬を増やしますよということ)

A 一定の要件(*)を満たさない場合に所定単位数の70%を算定する仕組みを導入。

* 一定の要件
・居宅サービス計画を利用者に交付すること
・特段の事情のない限り、少なくとも月1回、利用者の居宅を訪問し、かつ、少なくとも3月に1回、居宅サービス計画の実施状況の把握の結果を記録すること
・要介護認定や要介護認定の更新があった場合等において、サービス担当者会議の開催、担当者に対する紹介等により、居宅サービス計画の内容について、担当者から意見を求めること

(とはいうもののちゃんと仕事しないケアマネさんの報酬はカットしますよということ)

B 1単位の単価に掛かる地域差(訪問介護等と同様)を導入

2. 自立支援を指向する在宅サービスの評価

@.訪問介護

@訪問介護の区分の体系的な見直し

訪問介護の適正なアセスメントを図る観点から、身体介護と家事援助が混在した複合型を廃止。
また、家事援助から生活援助に名称を改めるとともに、短時間のサービス提供や生活援助について、自立支援、在宅生活支援の観点から重点的に評価。

(身体介護と家事援助が混在した複合型というわけのわからなかったヘルパーサービスは廃止

と同時に少しだけ報酬を上げてあげますよということ)

身体介護中心型 30分未満      210単位 → 231単位
家事援助中心型 30分以上1時間未満 153単位 → 208単位
1時間以上              222単位 → 291単位

A訪問介護における減算の算定範囲等の見直し

訪問介護の質の向上の観点から、3級訪問介護員によるサービス提供の場合の減算の算定範囲に生活援助等を追加し、評価を見直す。

(3級ヘルパーさんへの差別をしました)
               算定割合  95% → 90%

Bいわゆる介護タクシーの適正化

適切なアセスメントに基づく居宅サービス計画(ケアプラン)上の位置づけがあることを前提に、要介護1以上のものに対し、通院等のために乗車・降車の介助を行った場合に算定対象を限定して、適正化を図る。

(これでデパートへの買い物、お花見なんかは介護保険は使えなくなりました。

でも、近くのスーパーの買い物くらいは認めるべきでは??)

通院等のための乗車・降車の介助(新設) → 100単位/回

A.通所サービス

要介護者の在宅生活を支援し、利用者の利便性の向上や家族介護者の負担の軽減を図るため、6〜8時間の利用時間をこえてサービスを提供する場合や入浴サービス等を評価するとともに、全体として適正化。

(市町村が運営する社協のデイサービスの人に聞かせたいですね。公務員根性を捨てましょう

要介護者には時間外や休日なんて関係ないですからね)

B.リハビリテーション

@訪問リハビリテーションの評価

円滑な在宅生活への以降、在宅での日常生活における自立支援を図る観点から、退所(退院)後6月以内の利用者に対して具体的なリハビリテーション計画に基づき、ADLの自立性の向上を目的としたリハビリテーションを行った場合を評価。

(これは医療訪問リハビリにすべきだと思うのですが・・・・)

日常生活活動訓練加算(新設) → 50単位/日

A通所リハビリテーションの評価

(リハビリとレクリエーションの違いがほんとにわかっているのかな?理学療法士さん!)

円滑な在宅生活への移行、在宅での日常生活における自立支援を図る観点から、身体障害や廃用症候群等の利用者に対して個別リハビリテーション計画に基づき、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が個別にリハビリテーションを行った場合のリハビリテーションを評価。

個別リハビリテーション加算(新設)
退院・退所日から起算して1年以内の期間  130単位/日
退院・退所日から起算して1年を超えた期間  100単位/日

C.居宅療養管理指導

(実はこれがくせ者です。だってケアプランに記載されないサービスなんて・・・)

(どこかの整形外科みたいに押し掛け往診して搾り取る悪徳医療機関の温床?)

きめ細かく個別的な指導管理の充実を図り、利用者の在宅生活における質の長期的な維持・向上を目的として、居宅療養管理指導を再編。

医師または歯科医師 (月1回に限る)  →  (月2回に限る)
居宅療養管理指導費(1)  940単位/回 → 500単位/回
居宅療養管理指導費(2)  510単位/回 → 290単位/回
*(2)は在総診算定、(1)はそれ以外の医療機関

(この辺が厚労省のバカさ加減ですが・・・・1と2を変更すれば自ずと

選択肢が絞られるのですが・・・・在総診はもともと高いので高い点数にすれば

算定できなくていいのです)

薬剤師(月2回に限る) 550単位/回  →
    医療機関の薬剤師(月2回に限る) 550単位/回
    薬局の薬剤師(月4回に限る)  初回 550単位
                        2回目以降 300単位/回

歯科衛生士等(月4回に限る) 500単位/回 →
           初回 550単位、2回目以降 300単位/回

D.訪問看護

利用者または家族用に対して24時間連絡体制にあって、かつ、計画的に訪問することとなっていない緊急時訪問を必要に応じて行う場合の訪問看護の評価の適正化。

訪問看護ステーションの場合 1370単位/月 → 540単位/月
病院・診療所の場合      840単位/月 → 290単位/月

E.痴呆対応型共同生活介護(グループホーム)

(今現在最もいい加減な知識のない人が運営できる唯一の施設、じゃあなかった在宅でした)

痴呆性高齢者が安定的に自立した生活を営むことができるよう夜間の介護内容や介護体制を確保したグループホームにおける夜間のケアを評価。
         夜間ケア加算(新設)  71単位/日

*算定用件

* 適切なアセスメントに基づき、夜間のケア内容を含む介護計画を作成すること
* 夜勤職員を配置していること
* 過去1年以内に実施したサービスの質の自己評価結果(平成17年度以降は外部評価結果)が公開されていること



ここから下は平成15年3月までの介護報酬総点数(参考資料)


A 仮単価設定の基本的考え方(平成11年8月)

 

平成12年1月17日に出された介護報酬の設定に関する基本的考え方
1)医療と福祉を一体とし、統一化した介護サービスの報酬体系の確立
2)リハビリ・機能訓練、在宅復帰の重視
3)在宅におけるサービス提供体制の強化
4)痴呆性の高齢者に対するサービスの充実
5)費用の実態を踏まえた報酬の適正化
6)現行の措置費や診療報酬からの円滑な移行
7)急性期医療と介護保険サービスとの区分の明確化


平成12年1月28日の医福審の諮問

B 平均利用額(区分支給限度額)-------要介護度別により受けられる在宅サービスの量の金額制限のこと。聡明な方はお気づきでしょうが、実際の認定では要支援、要介護1と要介護2以上では月とスッポンの違いがあるのに、限度金額や施設サービス利用の点では要介護1と要支援の間にあります。これが実際の介護保険の欠陥を物語っていてお元気老人のデイケアのどの無駄遣いの温床になっています。

1 在宅サービス(月額)

ただし在宅ということで上記の支給限度額は次の7種類のサービスに限られる。

短期入所生活介護や短期入所療養介護のショートステイも支給限度の制約を受けるが居宅サービスの制限とは別に要介護度に応じて半年単位で1〜6週間程度の利用が可能になるはずですが、支給限度額に含まれるという答申で実際には在宅サービスの全額を受けていない場合は考慮される。

語句の説明:

支給限度額とは----居宅の要援護利用者が介護保険からサービスを受けられる上限金額のこと。居宅サービスの場合は利用者一人ひとりの生活環境や健康状態に合ったケアプランが必要になるため、サービス費用を要介護度毎に管理する為に設定された。あくまで上限と言うことで、必要のないサービスは受ける必要はない。これに対して施設サービスは特養、老健、療養型病床群の3施設に対し、要介護度別に介護報酬が決定されていて、利用料もサービスに関係なく決まっている。

痴呆対応型共同生活介護--------月平均利用額:25,2000円

2 施設サービス(月額)


C 各サービスにおける単価--------とりあえず、わかりにくいので1点を¥10として考えてみましょう。

1 在宅サービス--------原則、自宅で介護を受けている場合に、受けられるサービスのこと。在宅支援ということで施設を使ったショートステイなども含まれます。

(1 )訪問・通所系


  

(a) 訪問介護--------ヘルパーさんが自宅に来てくれて行う、日常の介護や家事援助してくれる

ア) 身体介護---------直接に利用者さんの体に触る介護ということで2級ヘルパー以上の資格が必要。清拭や入浴介助などなど。

イ)折衷型----名前を変えて複合型という名称にしたとか-------要するに身体介護と家事援助の複合ということ

ウ)家事援助-------直接に利用者さんの体にかかわらない介護。ご飯を作ったり、お皿を洗ったり、居室の掃除をしたりなどなど。

* 早朝(6〜8時)・夜間帯(6〜10時)は所定点数の125%、深夜帯(10〜6時)は所定点数の150%
(現行制度並び)


  

(b)訪問入浴介護-------自宅まで浴槽を車に積んできて、入浴させてくれるサービスのこと。自宅の浴槽を使う場合は、違うので注意!


  

(c)訪問看護--------元々は、医療が必要な患者さんで、通院が困難な場合医師の往診とセットで行われてきたので、「利用者さん」でなく「患者さん」と表現しますが、これを介護保険に組み入れたことで、医療の専門家でないケアマネージャーが管理すると、危険なことが多いので、これも介護保険制度の歪みと言えます。

ア) 医療機関からの場合------医療訪問看護の事例が多い

イ) 指定訪問看護ステーションからの場合-------医療訪問看護と介護保険訪問看護のどちらにも対応している

(d) 訪問リハビリテーション--------PT(機能訓練士)またはOT(作業療法士)が医師の指示に基づいて、自宅まで来てくれて機能訓練してくれる。医師が来てリハビリしても算定できません。


  

(e)通所介護

ア)単独型通所介護費

イ) 併設型通所介護費

ウ)痴呆専用単独型通所介護費

エ)痴呆専用併設型通所介護費

(f)通所リハビリテーション

   老人保健施設におけるデイケア

通常規模医療機関デイケア

小規模医療機関デイケア

(2 )短期入所系

(a)短期入所生活介護--------生活に関する介護が必要な場合のショートステイ

2000.2/10の厚生省通達でまたややこしくなりました。
要するにケアプランは支給限度額の60%で考えなくちゃいけないんだって!!!!

申請月の3ヶ月前と4ヶ月前のそれぞれの月について、訪問通所系のサービス利用実績が6割未満であれば、短期入所の限度日数を拡大するというもの。誰が考えてもおかしい、役人の机上の空論です。

6ヶ月間で受けられるショートステイ   拡大されたショートステイ期間
要支援    : 6ヶ月で1週間         ⇒ 2週間
要介護 1、2: 6ヶ月で2週間         ⇒ 4週間
要介護 3、4: 6ヶ月で3週間          ⇒ 6週間
要介護 5  : 6ヶ月で6週間         ⇒ 9週間
(要介護5の場合だけ倍率が違う理由)@ 要介護5の場合はもともとの短期入所の限度日数の水準が高いこと。A 要介護5の場合でも倍率を2倍にした場合、一度拡大措置を受ければ、毎月、2週間短期入所が可能となり、在宅2週間・短期入所2週間というパターンでサービスを受ければ、在宅の2週間の間サービスモデルどおりのサービスを受けても、短期入所の限度日数拡大の要件を満たしてしまうこととなる。 

    

単独型短期入所生活介護 (1日あたり)

併設型短期入所生活介護 (1日あたり) (要介護者等:介護・看護職員 = 3:1 )

(b)短期入所療養介護--------医療が必要な場合、医療の管理ができる施設でのショートステイ

老人保健施設型(1日あたり)

病院療養型病床群(1日あたり)

診療所療養型病床群(1日あたり)

(3 )その他(単品サービス等)

(a)特定施設(有料老人ホーム等)入所者生活介護(1日あたり)

(b)痴呆対応型共同生活介護(1日あたり)

2 居宅介護サービス計画費(1月あたり)

3)居宅療養管理指導

医師/歯科医師----居宅療養管理指導費(1)940点/月
     居宅療養管理指導費(11)510点/月---在総診を算定する場合
薬剤師-------550点/月2回まで
管理栄養士----530点/月2回まで
歯科衛生士------500点/月4回まで

4 住宅改修費

5 福祉用具購入費

支給限度額:10万円

6 福祉用具貸与費

要した費用

7 施設サービス---------要介護1以上の認定が必要です。


  

(1 ) 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

ア )介護老人福祉施設サービス費

イ) 旧措置介護福祉施設サービス費 

(2 )介護老人保健施設 (老人保健施設)

(3 )介護療養施設(療養型病床群)

5 基本食事サービス費


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