こんにちわ、ホシノ・ルリです。なんだかまた私のお話のようです。
私なんかの航海日誌なんか見て面白いんですかね…。

それとも作者さん……ネタ切れですか?(ぼそっ)



























ぐはっ!(吐血)






















機動戦艦ナデシコ -if-
-Revenger-


第11話 『ルリちゃん航海日誌2』

























×月◎日 吹雪

現在ナデシコは北極海域をウチャツラワトツスク島というところに向かっています。
何でそんなところに向かっているのかというと、私達が地球へと戻ってきた際に
ナデシコの提督として新たに就任したムネタケ提督からの命令で現在その島に取り残されているという
某国の親善大使の方を救助しに向かっているところなんです。
何でも軍の方でもこれはナデシコしか成功させることができないとか言っているそうで…
ナデシコとしても人命救助ということならと協力することにしました。
そういうことで現在私達はブリザード吹き荒れる北極海を木星蜥蜴に見付からない様に静かに航行しているわけです。

そしてこんな状態なわけですから当然暇な人達も出てきます、中でも一番暇そうにしているのはパイロットの人達…
リョーコさん、ヒカルさん、イズミさん、そして新しく仲間になったアカツキさん達は日々退屈そうにしています。
当初はアカツキさんの実力を試す為なのかそれともただの暇つぶしなのか、訓練の時以外でも
シミュレーションで訓練とかをやっていたんですが、ここ数日はそれも見られなくなりました。
どうやら実力の方はリョーコさんと肩を並べるほどだとか…
トータルバランスで見ればアカツキさんの方が上なんじゃないか、というのがヒカルさん達の感想です。
当然リョーコさんはそのことを認めるわけもなく、時々アカツキさんを引きずってシミュレーションルームに向かってます。

ただパイロットの中でもヤマダさんだけは日々忙しい毎日を送っています。
毎日の日課である訓練を終わらせると今度はその足でメグミさんとのデートです。
通信士のメグミさんはブリザードの影響で通信が思うようにできない為にブリッジクルーの中では一番暇を持て余しています。
そんなわけで、その余った時間を有効利用しようということでヤマダさんとバーチャルルームで毎日デートだそうです。
その話を聞いた艦長達はかなり羨ましがっていました、私も機会があったらアキトさんと一緒に行ってみたいです。
ちなみにその時間はお給料対象外だとか…意外としっかりしてますよね、ネルガルって。







今一番忙しいのはオペレーターの私、そして操舵士のミナトさん、そしてこれまた新しく仲間になったエリナさんです。
ミナトさんは交代要員のエリナさんが居るおかげでかなり楽になったとは言っていましたがそれでも忙しいことには変わりありません。
いくらオートパイロットといっても操舵士がずっと居ないわけにはいきませんからね。
そして私は当然オモイカネのオペレートがあるので滅多に席を離れるわけにはいきませんからこうやって時間を見つけてはアキトさんにメールを…

「あっれ〜、ルリルリ何やってるの?」

「あっ」

いつに間にか私の後ろに近付いていたミナトさんにいきなり声を掛けられた私は驚きました。
そして覗き込んで私が書いていたメールを読んでいる事に気が付いて咄嗟に隠しましたが時既に遅し…のようです。

「ふ〜ん、アキトくんにメール書いてたんだぁ。
 毎日何書いてるのかと思ったらこれだったんだぁ」

そんなことを言いながらミナトさんの顔はまるで悪戯でも思い付いた様な顔をしています。
な、なんだか今のミナトさんのお尻には先の尖った尻尾でも生えていそうな雰囲気です。
そして私は思い出しました、数日前にデートを繰り返すメグミさんがミナトさん、ヒカルさん、イズミさんの3人に散々からかわれている光景を……。
あの時のメグミさんはもう悲惨な状態でした、その時私は心の中でご愁傷様と謝りながら傍観者を決め込んだのですが
どうやら今回の犠牲者は私に決まってしまったようです。
取り敢えず誰かに助けを求めようと周りを眺めますがプロスさんとゴートさんはメグミさんの時と同じ様に巻き込まれる事を
避けて傍観者を決め込んだようです。
ですが今回はミナトさん一人、それほど酷い事にはならない事を祈りつつそう思って正面を向いた時…

「「へっへっへっへっへ〜」」

「……………」

何でこうタイミングよくブリッジに居るんですか!ヒカルさんにイズミさん!
何時もだったらブリッジに居る事自体少ないのに…。
こうして私はこの後2時間ばかり3人の暇つぶしの対象となってしまいました……勘弁して。

ちなみに何で私がアキトさんにメールを書いていたかというと…
あの時コスモスと共に私達に合流したアキトさんでしたが一旦別行動を取る事になったんです。
何故かというとコスモスでやってきていたのはアキトさんだけだったからです。
なんでもAIのミコトさんは未だ機体の方が調整中の為に一緒に来れなかったとか…
それと最終調整にはどうしてもアキトさんが居ないとできないという事なので一旦別行動になりました。
これに対して艦長がナデシコで同行すると進言したらしいですが連合軍の方に却下されたとか。
そういえばセイヤさんもアキトさんに着いて行くといっていたらしいです。
なんでも…
『俺ですらミコトちゃんの整備はしてないんだ!、それをネルガルの奴らに任せておけるかぁー!
 俺にも…俺にも触らせろ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!』
とかって叫んでいたらしいですが…結局これも却下されたらしいです。
そういう事なのでアキトさんは機体の整備が終わり次第、ナデシコに掛け付けてくれるそうです。
まぁその別れぎわの際に私がかなりごねてしまった為にアキトさんは私だけにメールアドレスを教えてくれました。
今から思うとかなり恥ずかしいんですが…それ以来こうやって毎日のようにメールを書いていたんです。
まさかミナトさんに見付かってしまうとは思いませんでしたけど、おまけに後ろの方では艦長が何やら私の事を睨んでますし。
この続きはまた部屋に帰ってからにすることにします。


これから数日後、私達は無事に親善大使の白熊さんを助け出すことに成功しました。
それにしても連合軍に嫌われているんでしょうかね?私達って…
ホント大人の考えることは分かりません。だって私、少女ですし。
















×月△日 晴れ

東奔西走…
まるでこの諺が似合うように私達は地球上を駆け巡っています。
この間北極海域に居たと思ったら今度は赤道直下に私達は居ます。テニシアン島、今度私達が向かう島の名前です。
つい先日、ここに一基のチューリップが落下してきたというので私達が調査に向かうことになりました。
私達が火星へ向かう時にビッグバリアを壊してしまったので今回の進入を易々と許してしまったとか…
だからでしょう、私達にこの任務が回ってきたのは…ですがナデシコクルーの誰一人として任務という意識がありません。
皆さんバカンスでも行くかのような感じです、何しろあのお堅いエリナさんですら何やらコソコソと作っているようですし…
南の島…ですからねぇ、テニシアン島って。各言う私も強い日差しで日に焼けないようミナトさんに日焼け止めクリームを頂きました。
私、海に行くのって初めてなんです…できればアキトさんと一緒に来たかったです。
機会があったら誘ってみるのもいいかもしれませんね…あ、でもこの事はミナトさん達には内緒です。
だってまたからかわれてしまいますから、でも今はバカンスのことで頭が一杯だから大丈夫かな?
そういえばこの任務が決まった時、ムネタケ提督が真夜中に騒いでいたとイネスさんから聞きました。
何でそんな時間に騒いでたのかは知りませんが眠くないんでしょうかね?
イネスさんに聞けば恐らくは教えてくれるとは思いますが、あの人に聞くわけにはいきません。
何しろイネスさんの説明好きにはナデシコクルー全員が手を焼いています…
先日もプロスさんとゴートさんが聞きたい事があるからとイネスさんの元に向かったまま数時間帰って来ませんでしたから。
何でナデシコってこう変わった人が多いんでしょう?

ともあれ私達は無事テニシアン島に到着…一時のバカンスを楽しみました。
ビーチバレーに日光浴、将棋にモバイルと皆さん思い思いに楽しんだようです。
そう言えばこのバカンスに一人文句を言っていたムネタケ提督はいつの間にか砂浜に埋められていました。
上手に頭だけ出るように埋めていましたね、一体誰が穴を掘ったんでしょうか?
まぁそのおかげで誰も文句を言う人が居なくなった為、皆さんゆっくりと楽しんでいました。
そう言えばこのバカンスでちょっとした事件がありました。実はこの島、最近になって個人の所有になっていたんですが
その持ち主の女性とヤマダさんが接触、すっかりいい雰囲気になってしまったんです。
ヤマダさん曰く、『俺にとって理想の女性なんだー!』と彼を探して追いかけてきたメグミさんの前で言ってしまったらしく…
この後、かなりの修羅場になってしまったということです。
どうやらこの直前にヤマダさんは例のゲキガンガーのビデオを見ていたらしく、それに感化されてしまったようなんです。
結局のところその女性、少々性格の方に問題があったらしく事なきを得ました。
そりゃ悲劇のヒロインに憧れているとかで食事に痺れ薬を盛られた上に一緒に死のうとまで言われたら…ですがそれで納まらないのはメグミさんです。
今回の事でヤマダさんが料理の上手な女性が好きだという事が判明したらしく、この事件以降毎日のようにヤマダさんに手料理を食べさせています。
ただ問題なのはメグミさんの料理の腕前、ホウメイさん曰く『恋の劇薬』だそうで…
一日平均2回はヤマダさんの悲鳴がナデシコ中に響き渡っています。
ヤマダさん…ご愁傷様。

あ、ちなみに新型チューリップですが…
どうやら通常の奴とは違って、でかいジョロがその中に入ってました。
イネスさんの話では色々な戦法を試しているのだろう…とのこと。
結局ヤマダさんを除いたエステバリス隊の皆さんの活躍であっさりと倒すことができました。
やっぱり今回のメインはバカンスですよね…どうみても。
こうしてナデシコは次の目的地へと向かうことになりました。
あれ?そう言えばムネタケ提督はどうなったんでしょうか…あれ以降姿を見ていませんが……
また明日にでもミナトさんに聞いてみましょう。
それではおやすみなさい。ネムネム……。
















×月○日 晴れ

この日は私達にとって最悪の日になりました。
クルスク工業地帯…私達が生まれる前は軍需産業とりわけ陸戦兵器の開発で盛り上がってた土地です。
このクルスク工業地帯を木星蜥蜴が占拠し、その上今までどの戦線でも使われたことのない新型兵器を配備したそうです。
そしてその新兵器------司令部ではナナフシと呼んでるらしいですが------の破壊が今度の任務というわけだったんですが…
見事に作戦は失敗、ナデシコはグラビティブラストによる遠距離射撃の前にナナフシの対空攻撃システムによって撃墜されてしまいました。
何とか不時着には成功しましたがナデシコは暫くの間は動けなくなってしまいました。
ですがナナフシ側からは現在のナデシコの位置でも攻撃は可能。更にイネスさん曰く…

「きっとナナフシの正体は重力波レールガンね。
 威力は凄いけどマイクロブラックホールの精製には恐らく12時間は必要だと思うわ。
 17時に攻撃を受けたから次の攻撃は明朝5時、グズグズはしてられないわよ?」

そこでやむなくエステバリスによる攻撃を行うことになりました。

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ブリーフィングルームでは作戦内容をゴートがパイロット達を前にしていた。

「と、いうわけでエステバリスを地上から接近、ナナフシの破壊を行う。
 作戦開始は一時間後、砲戦を3機、陸戦を3機のフォーメーションで行く。
 作戦指揮はアオイ副長、君に担当してもらう」

「はい。みんな宜しく」

ゴートに名を呼ばれたジュンは立ち上がり返事をした後、他のパイロット達に軽く挨拶をし再び席に就いた。
何故副長であるジュンがこの場に居て、しかも今回の作戦指揮を執るのかというと
ユリカの『持てる戦力の全てを投入しましょう!』の一言によりジュンの参加も決まったのだ。
そしてその事に他のパイロット達も文句を言うことはなかった。
以前ジュンと戦った事のあるアキトやヤマダから彼の事は聞いていたし、実際にシミュレーションで手合わせもしていた為に
彼の腕前も把握していたので逆に喜ばれたほどだった。

「ナデシコから離れて行動するんだからエネルギー供給は受けられん。
 そこで外部バッテリーを陸戦用の各エステバリスに背負わせる」

最後にウリバタケにより装備についての説明が終わるとブリーフィングは終了、6人のパイロット達はそれぞれ格納庫に向かうのだった。
格納庫に着いた彼等はそれぞれの機体に乗り込み大勢の整備班に見送られる中、ナデシコを発進していった。
ちなみに砲戦にはジュン、アカツキ、ガイ、そして陸戦はリョーコ、ヒカル、イズミという内訳だ。
そしてその頃ブリッジでは……

ビシッ!

何故か某国の旧軍服らしきものを着たユリカ達が発進していくエステバリスを敬礼で見送っていた。

「新手のコスプレかね?」

ブリッジに入ってきたゴートが彼女達を見ていった最初の一言がこれだった。

「セイヤさんがこれを着た方が」

「作戦司令部みたいで気分が出るからって」

「コレクションから持ってきたそうです…」

ゴートの一言に答えたのはメグミ、ミナト、そして若干頬を赤く染めたルリだった。
だが何故かルリだけは武者姿をしている、さすがのウリバタケコレクションにもルリに合うサイズの軍服はなかったようだ。
そんな中、ユリカは未だ敬礼をしたままエステバリス隊を見送っていた。

そしてエステバリス隊はナデシコのエネルギーライン有効範囲内より離脱していった。
ナデシコの方でもイネスが観測衛星から送られてくる最新データを分析して新たな情報を得ようとしていた。
エステバリス隊の方も山を登り、川を渡り、そして敵の地雷原等を突破しつつ着々とナナフシに近づいて行く。
こうして時間は刻々と過ぎていった。
















予定ではエステバリス隊が後僅かで目的地に到着する、というところでナデシコに通信が入ってきた。

「敵襲?」

「おう。と、いうわけで敵さんの映像送るぜ!」

ユリカの疑問の声にリョーコが返事とばかりに現地の映像を送ってきた。
モニターに映し出されたのは前方の丘を埋め尽くさんばかりの大量の戦車だった。
敵襲と聞いて真っ先に思い浮かべたのはバッタやジョロである、しかし目の前に映し出されたのは見慣れない兵器だった。
思わず首を傾げているユリカ達にゴートが戦車について簡単に説明する。

「知らないのも無理ない。
 2世代前の陸戦主力兵器だからな。
 だが幾ら旧式とはいえ数が揃えば驚異に値する」




ナデシコブリッジで戦車についての説明がゴートによって行われていた頃、エステバリス隊は敵戦車部隊との戦闘に突入していた。
陸戦フレームの3機が今作戦の切り札ともいえる砲戦フレーム3機を庇いながらも敵の部隊に向かって攻撃を仕掛ける。

「副長とアカツキ、ヤマダは今の内に行け!」

「すまない」

リョーコからの通信を聞いてジュンはアカツキとガイの2人と共に先に進もうとした、しかし…

「俺も戦うぜ!」

「「「「「はい!?」」」」」

ガイの台詞を聞いて固まる5人…
そんな5人を尻目に敵戦車部隊に向かってガイの砲戦フレームは攻撃を始めた。

「止めろ!無駄弾を使うな!」

「なにぃ!?」

一番最初に我に返ったアカツキがガイの機体を押さえ込み、ジュンが説得し始めた。

「この砲戦フレームは対ナナフシ用の切り札だ。
 ここはスバルくん達に任せるんだ、ヤマダ!」

「正義の味方が敵に背中を見せられるかってんだ!
 それと俺の名前はダイゴウジ・ガイだ!
 てりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 
ジュンの説得も空しくガイはアカツキ機を跳ね除け敵への攻撃を再開した。
そしてそれは敵戦車部隊が全滅するまで続けられるのだった。








目の前に広がるのは無残に破壊された戦車の残骸だけだった。
肩で息をするガイの元へナデシコからイネスの通信が入った。

「どう?もう気が済んだかしら?
 悪い知らせよ、ナナフシが動き出したわ。
 データ不足だから何時マイクロブラックホール弾を打ち出すかは不明だけどもうほとんど時間がないわ。
 そして確実に言えることは…次の被害はもっと大きい」

「どういうことです?」

イネスの通信は各エステバリスに送られていたのだろう…
彼女の話の内容を聞いてジュンは詳しい事を問い質すのだった。

「最初のマイクロブラックホールは宇宙に飛び出してから自然蒸発したので被害は最小限で済んだの。
 でもこの次は間違いなく大気中で蒸発するわ。 で、その結果どうなっちゃうかって言うと膨大な放射熱でナデシコと都市は一瞬にして蒸発。
 免れたところも強力なガンマ線を浴びて……間違いなくこの周辺は死の大地になるわね」

「「「「「「!!!」」」」」」

淡々と語るイネスの言葉を聞いてジュン達は愕然とするしかなかった。
そして彼等は一刻も早くナナフシの元へ向かうことになった。
自分達の作戦が成功しなければナデシコは確実に沈む…そうなれば当然自分達を待っているのは死だけである。
しかし目前にまで迫ったナナフシさえ破壊してしまえば最悪の事態だけは回避される。
それだけを考えて前へ進もうとするのだが現実はそう甘くはなく…

「くっそー!次から次へと!」

「どーするリョーコ?このままじゃ!」

エステバリス隊はまたもや敵戦車部隊に襲われていた。
さすがに軍需産業で盛り上がっていた土地だけに物量に関しては無尽蔵に近いものがあるようだ。
リョーコが焦りを感じながらも砲戦フレームを庇いつつ敵をなぎ倒してはいるがそろそろバッテリー残量も気になり始めていた。
そんなリョーコに同じ様に奮闘しているヒカルが問い掛けるが彼女の方もいい考えは浮かんではこなかった。
だが助け舟は意外なところから出された。

「ここは俺様に任せろ!
 お前らはナナフシも元へ向かえ!」

「ヤマダ…おめぇ…」

ガイの何かを決意したような表情を見て暫し呆然とするリョーコそして…

「あなた一人だけじゃ危なっかしいから私も残るわ」

「イズミちゃん!?」

更に意外なところからも声が上がり彼女の行動に驚きを隠せないヒカルだった。
誰も口にすることはなかったが結局誰かが残って敵を惹き付けるのが最適なのだ。
だがこの状況からいえば残った者の生存率はかなり絶望的な状況である。
しかしここで誰かがここで敵を惹き付けなければもう時間は残されていないのだ。
ガイとイズミをその場に残し、ジュンたち4人は後ろ髪を引かれる思いで先に進むのだった。

「へっ、後悔すんなよ!?」

「あなたこそね」

その場に残った2人は互いを鼓舞するかのように声を掛け合い、そして敵集団に突っ込んでいった。











先に進んだ4人はこれ以上の妨害に遭う事はなくナナフシ目前まで迫っていた。

「よしっ!あれだ!」

ジュンの声と共に巨大な敵の姿が目に入ると4人は更に速度を上げた。
そしてジュンとアカツキの砲戦フレームは全武装の有効射程距離内に入るとその場に停止した。

「「全弾発射!」」

照準を合わせ今まで温存してきた全弾をナナフシに向かって放つ…
その両脇ではリョーコとヒカルがこちらもラピッドライフルの弾が尽きるまで撃ち放った。
そして残弾と共にバッテリーも尽き、彼らの機体はそれぞれ動きを止めた。
4人は心の中で動きを止めたナナフシの姿を願ったが、爆煙の向こうから現れたのはほぼ無傷に近いナナフシの姿だった。

「そ…そんな……」

ジュンは未だ健在な敵の姿を見て愕然とする、ナナフシの装甲はこちらが思っていた以上に厚かったのだ。
砲戦2機と陸戦2機の火力では打ち破ることができなかった、だがこれが3機だったら…
そんな思いが頭を過ぎったが今更だった。そう、作戦は失敗に終わったのだ。
最後の手段としてエステバリスをナナフシにぶつけるという事もあるのだが既にそれすらもできないのだ。
ジュン、アカツキ、リョーコ、ヒカルはバッテリー切れで動かなくなった己の機体の中で項垂れるしかなかった。
もう万策尽きたのだ………。



ナデシコのブリッジも静寂に包まれていた、作戦が失敗した事はあきらかだった。
そしてこれから自分達を待っている運命がどんなものなのかも…

「ナナフシ周辺の空間に重力波の変動を確認」

「そろそろね…。
 安心なさい、何も感じることなんてないから」

ブリッジ内にナナフシの状況を伝えるルリの声が静かに響き渡る。
その声に被さるようにイネスがナナフシが在るであろう方角を見つめ、最後になるであろう慰めにも似た言葉を口にした。
それを聞いたクルー達は肩を落とし項垂れるしかなく誰も口を開くものは居なかった。

「…あれは?」

唯一外を見ていたイネスはナナフシがある方角に向かって伸びる漆黒の奔流を目にするのだった。
それが一瞬にして大地に突き刺さったかと思うと同時に爆発を引き起こした。

「こ、これは一体…」

ジュンはいきなり目の前で起こった事を唖然としながら見つめる事しかできなかった。
頭上からナナフシに向かって漆黒の奔流が突き刺さったかと思うといきなり大爆発を起こしたのだ。
もし必要以上に近付き過ぎていたら爆発に巻き込まれていたかもしれない、それほどの爆発だった。
しかしナナフシが破壊された事は確かだった、これでナデシコが撃沈される事がないと理解するとホッとするのだった。
だがホッとしているのもつかの間、突然目の前にウインドウが開かれた。

「どうやら間に合ったようだな…」

「テ、テンカワ!?」

ジュンに通信を送ってきたのはここに居るはずのないアキトだった。
その事に驚きながらも別の意味で納得するものがあった、彼の駆る機体ならばこれほどのことも軽々とやってのけるであろうと…
そしてジュンはナデシコに作戦終了の報告と共にアキトの帰還も連絡するのだった。

ナデシコではナナフシを破壊した事により歓声が沸いていた、先程まで絶望の淵に立たされていただけに喜びも一入である。
それと共にアキトの帰還も喜んだ、ブリッジではその報告を聞いて早速彼の姿を見つけようとモニターにその姿を映し出した。
だがそこにあったのは機体の2倍近くあるレールカノンらしき物を片手に持ったブラックサレナではない漆黒の機体とそのそばに佇むグレーのエステバリスだった。

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結局この作戦ではヤマダさん、イズミさんがそれぞれ軽症を負いました。
ですがそれぞれの機体は大破…まさに奇跡としかいいようがありませんでした。
ジュンさん、アカツキさん、リョーコさん、ヒカルさんには怪我もなく機体の方も軽微の破損で済んだそうです。
ナデシコの方も辛うじて修理も終わり、現在メンテナンスを行う為にヨコスカシティに向けて航行中…
アキトさんもナデシコに合流して現在は艦長やプロスさん達とお話中です。
それと新しい乗組員もやってきました、グレーのエステバリスに乗っていた人です。
イツキ・カザマ中尉、連合軍に在籍している軍人さんだそうです。
本当はヨコスカシティで合流する予定だったらしいのですが、アキトさんがナデシコに急行することになったのでそれに便乗してきたとか…
それにしてもアキトさんが乗っていた機体は何でしょうね?
以前のブラックサレナと違い随分とスマートになっていました、それを言ったらAIのミコトさんが『前は太ってたっていうの!?』とかって何やら怒っていました。
そういう意味じゃないんですけどね…兎に角、セイヤさんもこの機体には興味津々みたいです。
格納庫でアキトさんが来るのを今か今かと待ち構えています。

でもこれでナデシコはいつも通りに戻りました。
私も久しぶりにアキトさんの手料理でもご馳走になるとしますかね…
今日は久しぶりにいい夢が見られそうです。









あとがき



こんにちわ、双海 悠です。
今回のお話はTV版3話分を1話にまとめてみました〜(笑)
元々何処かを削ろうとは考えてはいたんです。
決してネタ考えるのが面倒だったとかネタ切れってわけじゃありませんので(爆)
まぁ削った分は恐らく後半で穴埋めがされる予定ではありますが…現時点では(^^;
ちなみに何で日記のような形式になったかというと……この形式が一番楽なんですよ!(笑)

それから…アキトくん用の機体が新しくなりました〜♪
まぁこれの活躍は次回というところですかね…
そういえば、前々回のあとがきで名前なんで要らないよ〜とかって言った割には
しっかりと何にしようかと考えてます、花言葉って難しいですね(核爆)

それではまた次回のあとがきにて…
失礼します〜(ペコリ)





おしまい


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