|  | 疾病名 | 症  
          候 | 
      
        | 1 | 初老期の痴呆 (アルツハイマー病、ピック病、脳血管性痴呆等)
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            ・アルツハイマー病 ・・初期の主症状は、記憶障害。意欲の低下、物事の整理整頓が困難となり、時間に関する見当識障害がみられる。中期には、記憶の保持が短くなり、薬を飲んだことを忘れたり、同じ物を何回も買ってくるようになる。後期には、自分の名前を忘れたり、トイレがわからなくなったり、部屋に放尿するようになる。また失禁状態に陥る。・脳血管性痴呆 ・・初発症状として物忘れで始まることが多い。深部腱反射の亢進、足底反射、仮性球麻痺、歩行異常等の局所神経徴候を伴いやすい。一般に、記憶障害はかなりあっても、判断力は保持されており、人格の崩壊は認めれられない。
 特定疾病か否かの判定に関わる事項:「特定疾病にかかる診断基準」によれば、1.外傷性疾患 頭部外傷、硬膜下血腫など 2.中毒性疾患 有機溶剤、金属、アルコールなど 3.内分泌疾患 甲状腺機能低下症、Cushing病、Addison病など 4.栄養障害 ビタミンB12欠乏症、ペラグラ脳症などを除く。それ以外は、65歳未満の方で痴呆の症状を有していて、「特定疾病にかかる診断基準」のなかの「診断基準」にあてはまるような程度まで進行していれば、何が原因かは問われないで初老期における痴呆にあてはまるとなると思います。私見ですが、ウイルスに起因する痴呆(クロイツフェルト・ヤコブ病、プリオン病、ヘルペス脳炎など)については、当然除かれるべきですが、明確な表示がなされない以上、含まれてしまうという変な解釈もあります。
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        | 2 | 脳血管疾患 (脳出血、脳梗塞等)
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            ・脳出血 ・・(脳出血、くも膜下出血、その他の頭蓋内出血)
            発症状況と経過は一般に頭痛、悪心、嘔吐をもって始まり、しだいに意識障害が進み、昏睡状態になる。半身の片麻痺を起こすことが多く、感覚障害、失語症、失認、失行、視野障害等が見られる。・脳梗塞 ・・(脳血栓、脳塞栓症、分類不能の脳梗塞)
 発症状況と経過は、アテローム血栓症脳梗塞やラクナ梗塞では、夜間安静時に発症し起床時に気が付かれ、症状が徐々に完成することが多く、心原性脳栓塞症では、日中活動時に突発的に発症して症状が完成することが多い。
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        | 3 | 筋萎縮性側索硬化症(ALS) | 
            成人発症、進行性、球症状、上位ニューロンもしくは下位ニューロン症状、筋電図で高振幅かつ多相性。
            筋萎縮・筋力低下、球麻痺、筋肉の線維束性収縮、錐体路症状を認める。結果として運動をつかさどる神経細胞が変性、消失していくために、手足の脱力に始まり、呼吸や嚥下に必要な筋を含む全身の筋肉が萎縮していく疾病。それに反して感覚障害、眼球運動障害、膀胱直腸障害、褥瘡は原則として末期まで認めない。
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        | 4 | パーキンソン病 | 
            進行性である。安静時のふるえ、動作の緩慢、歩行が緩慢のうち一つ。毎秒4〜6回の安静時振戦、無動・寡黙(仮面様顔貌、低く単調な話し声、動作の緩徐、臥位からの立ち上がり拙劣)、歯車現象をを伴う筋固縮、姿勢・歩行障害(前傾姿勢、歩行時の手の振り欠如、突進現象、小刻み歩行、立ち直り反射障害)のうち一つ。抗パ−キンソン薬が著効。
            以上をまとめて1)振戦、 2)筋強剛(固縮)、
            3)動作緩慢、 4)姿勢反射障害、 5)その他の症状(自律神経障害、突進現象、歩行障害、精神症状等)
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        | 5 | 脊髄小脳変性症 | 
            以下の多数の病型がある。1)オリーブ橋小脳萎縮症 2)皮質性小脳萎縮症 3)Machado-Joseph病 4)遺伝性オリーブ橋小脳萎縮症 5)遺伝性皮質性小脳萎縮症 6)歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 7)遺伝性痙性対麻痺 8)Friedreich運動失調症
            初発症状は歩行のふらつき(歩行失調)が多い。非常にゆっくりと進行。病型により筋萎縮や不随意運動、自律神経症状等で始まる。最終的には能動的座位が不可能となり、寝たきり状態となる。このように運動をスムーズに行うための調整を行う小脳、及びそれに連なる神経経路の変性が、慢性に進行性に経過するためにおこる運動失調(協調運動障害など)を主症状とする、原因不明の神経変性疾患。
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        | 6 | シャイ・ドレーガー症候群 | 
            30〜60歳の成人で潜行性で進行性。自律神経症状、小脳症状、錐体外路症状がトリアス。
            起立性低血圧によるたちくらみや失神、排尿困難、発汗低下尿失禁、便秘等の自律神経症状が潜行性に進行する。
            進行により、小脳症状、パーキンソン症状、筋萎縮等や睡眠時無呼吸発作等を生じる。進行性に経過する神経変性疾患。
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        | 7 | 糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症・糖尿病性神経障害 | 
            ・糖尿病性腎症 ・・糖尿病の罹病期間が長い。糖尿病に伴う蛋白尿を呈する。また、高血圧と浮腫を伴う腎機能障害を認める。・糖尿病性網膜症 ・・主な症候は視力低下。末期まで視力が保たれることもあり、自覚症によると手遅れになりやすい。
 ・糖尿病性神経障害 ・・下肢のしびれ、痛み等を認める。
 糖尿病についての詳細はここ
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        | 8 | 閉塞性動脈硬化症 | 
            動脈硬化症による慢性閉塞性疾患で、病型の1度:冷感・しびれ 2度:間欠性跛行 3度:安静時痛 4度:潰瘍・壊死のうち2度以上のもの。
            問診で閉塞病変に由来する症状−下肢冷感、しびれ感、安静時痛、壊死等−があるかどうかを聞く。視診により下肢の皮膚色調、潰瘍、壊死の有無をチェックする。触診ですべての下肢動脈の拍動の有無を調べる。
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        | 9 | 慢性閉塞性肺疾患 (肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎)
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            気道の狭窄等によって、主に呼気の排出に関して慢性に障害を来す疾病。
            ・肺気腫 ・・ほとんどが喫煙者で、男性に多い。休動時呼吸困難が特徴的であるが、出現するのはある程度病変が進行してからである。咳、痰を訴えることもある。・慢性気管支炎・・喫煙者に多く、慢性の咳、痰を認める。休動時呼吸困難は、感染による急性憎悪時には認めるが、通常は軽度である。身体所見では、やや肥満傾向を示す人が多いといわれる。
 ・気管支喘息・・発作性の呼吸困難、喘鳴、咳(特に夜間・早朝)が、症状がない時期をはさんで反復する。気道閉塞が自然に、または治療により改善し、気流制限は可逆的である。その他、気道過敏症を示す。
 ・びまん性汎細気管支炎 ・・呼吸細気管支領域にびまん性炎症により、強い呼吸障害をきたす。
 初期には肺炎球菌、インフルエンザ桿菌等が感染菌となりやすく。痰、咳、喘鳴を呈し、長引くと菌交代現象を起こし、緑膿菌感染になり重症化しやすい。
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        | 10 | 両側の膝関節または股関節の著しい変形を伴う変形性関節症 | 
            老化により膝関節の軟骨に退行変性が起こり、骨に変形を生じて関節炎を来す慢性の疾病。O脚や肥満が誘因となることが多く、中年の女性に多い。X-P上関節裂隙の不整狭小化、軟骨下骨梁の骨硬化、骨棘形成、骨嚢胞の形成、骨頭変形などがある。
            ・変形性膝関節症・・治療成績判定基準
            ・変形性股関節症・・股関節機能判定基準
            初期の場合は、歩行し始めの痛みのみであるが、次第に、荷重時痛が増え、関節可動域制限が出現。
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        | 11 | 慢性関節リウマチ | 
            1)朝のこわばり、2)同時に3カ所以上の関節腫張や液貯溜、3)手首、MCP、PIPの一つ以上の関節腫張、4)同時に両側の同一部位の関節炎、5)リウマトイド皮下結節、6)血清リウマチ因子、7)X-Pにて手首、MCP、PIPの関節に骨ビランや骨破壊像があるーーー以上7項目のうち4項目の存在で診断。自己免疫性疾患の一つと考えられ、進行性の慢性に経過する多発性の関節炎を来す。指の小関節から股・膝のような大関節まであらゆる関節に炎症が起こり、疼痛・機能障害が出現する。特に未明から早朝に痛みとこわばりが強い。筋、腱にも影響し筋力低下や動作緩慢が顕著になる。
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        | 12 | 後縦靭帯骨化症 | 
            脊椎の後縦靱帯に異常骨化により、脊髄又は神経根の圧迫障害を来す疾病で、頚椎に多い。四肢、躯幹のしびれ、痛み、知覚障害。四肢、躯幹の運動障害、膀胱直腸障害、脊柱の可動域制限、四肢の腱反射異常、四肢の病的反射が進行性である。診断は頸椎X-P,CT,MRIで靱帯の骨化を認める。
            靭帯の骨化は頚椎に最も多く、頚髄の圧迫では手足のしびれ感、運動障害、腱反射亢進、病的反射出現等の痙性四肢麻痺となる。胸髄圧迫では上肢は異常なく、下肢の痙性対麻痺となる。
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        | 13 | 脊柱管狭窄症 | 
            脊髄の通り道である脊柱管が老化等により狭窄することによって、神経が圧迫され、腰痛、足の痛みやしびれ、歩行障害等を来す疾病。主として四肢・躯幹の痛み、しびれ、筋力低下、運動障害、脊椎性間欠跛行や排尿・排便障害を伴うことがある。症状は増悪・軽快を繰り返し歩行困難となる。転倒などで症状が悪化し重篤な脊髄麻痺をきたすことがある。
            ・頚部脊柱管狭窄症 ・・両側の手足のしびれで発症するものが多い。手足のしびれ感、腱反射亢進、病的反射出現等の痙性四肢麻痺を呈する。・腰部脊柱管狭窄症 ・・腰痛、下肢痛、間欠性跛行を主訴とする。
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        | 14 | 骨折を伴う骨粗鬆症 | 
            骨粗鬆症とは、骨組織の組成は正常であるが、単位体積あたりの骨の量が減少した状態を呈する症候群をいい、老化等による内分泌の不調等によるものが多い。骨折部位は、前腕部や、大腿骨頚部、腰椎等の骨折が多く、閉経後の女性に多い。
            ・脊椎圧迫骨折・・腰背部痛と脊柱の変形が特徴的である。軽微な外傷後もしくは誘引なく急性の腰痛を生じ寝たきりになることが多い。・大腿骨頚部骨折・転子部骨折 ・・転倒等の後に、大転子部の痛みを訴え起立不能となる。膝の痛みを訴える場合もある。転位の少ない頚部骨折の場合、歩行可能な場合もある。
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        | 15 | 早老症 | 
            ウエルナー症候群、プロジェリア症候群、コケイン症候群に該当するものをいう。原発性性腺機能低下、低身長低体重、音声異常、骨の変形、糖同化障害、早期動脈硬化、尿中ヒアルウロン酸増加、血族結婚。
            若年者で老人性顔貌、白髪、毛髪の脱落とともに肥満の割に四肢が細い。若年性白内障、皮膚の萎縮と角化、足部皮膚潰瘍、四肢の筋肉・脂肪組織・骨の萎縮、血管・軟部組織の石灰化、性腺機能低下症、糖尿病、髄膜腫等を認める。
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